ついにトヨタ&日産も本命モデル投入! 間近に迫るEV時代の「光と影」

21世紀“電気主力の時代”にひそむ光と影とはなにか

 ただ漫然と20世紀型の生き方に固執した経営者が慌てているといえなくもない。新しい世紀に適した生き様を誠実に求めていけば、未知はおのずと開けていく。

 ただ単によりよいものづくりという、前例を改善する姿勢だけでは不充分だ。まだ手を付けていない、あるいは構想はあっても充分に実証されていない、しかしその完成した姿は理想であるといった原理原則に挑戦する意欲がなければ道は開けない。

 カギを握るのは、理想像や夢を持てるかだ。この先10年、20年、どのように生きたいのか。どのような暮らしがしたいか。上を見たらきりはないが、所得が上がらない現実のなかで、それでも快適に、豊かな気持ちで暮らしたいとの思いは誰にでもある。それを実現できなければ、若い世代の生きる意欲も失われてしまう。

 そうした現状から生まれた一つの消費形態が、定額で支払ったり、借りて使ったりする方法だ。クルマの利用にも当てはまる。所有することを否定するわけではない。だが、所有することによる出費は、限られた生活費のなかで無視できない。クルマをより多くの人が使えるようにする共同利用は、情報や通信といった技術が後押しする。

 運転免許証の取得にはいまでも数十万円の資金が必要だ。しかし自動運転が実用化すれば、それさえ負担せずに済む。自動運転の実用化は、単に安全の向上だけでなく、より幅広い人々にクルマの利便性を提供することにつながる。高齢化社会においても、運転免許証を返納しなければならなくなったとき、従来通りクルマの利用が可能になっていく。

 それらは、最新の技術を背景としながら、理想や夢を実現しようとする意欲や志が新しい社会を創る源であることを示している。

 18世紀から19世紀に栄えた石炭産業は王座から退き、20世紀は石油の時代となった。だがそれも、世界人口がわずか100年余りで5倍近くに増えたいま、地下の原油埋蔵量があっても安易に使えなくなった。そして21世紀は、電気が主力の時代になる。

 電気の利用については、世界的に火力発電が主力だが、原子力発電と再生可能エネルギーの比率が世界的にも高まってこうとしている。いまを切り取って、ライフサイクルを語っても未来志向の構想にはならない。原子力発電への不安はあるが、それを軽くする最新型の開発が世界で動きはじめている。

 移動だけでなく、電力の効率的利用や災害対応を含め、EVの普及は、電気の時代の下支えになる。エンジン車では難しい。そうしたことを含め、未来志向の事業転換を促しながら、雇用を維持していくことが求められているのである。

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