毎年3月は、自動車ディーラーの決算商戦が本格化する時期だ。国産メーカーでは「在庫車」の存在が少なくなり、オーダーを受けてから製造されるクルマが多くなった。そのため、実質的に3月の販売実績が、決算に大きく影響するということは少なくなったが、それでも3月は自動車販売が動く時期。決算期は良い購入条件が出やすく、特典も多い。
この時期、2022年最初の目玉車として登場した、新型ノア・ヴォクシーの売れ行きはどうなのか。2月時点ではノア・ヴォクシー合わせて7万台を超える受注があったようだが、重要な決算月の販売傾向についてみていこう。また、最新の値引き状況や、お得な買い方についても、掘り下げていきたい。
文/佐々木亘、写真/西尾タクト
【画像ギャラリー】長期交渉だと納車時期がさらに後ろ倒しに!! 今が買い時な新型ノア・ヴォクシー(22枚)画像ギャラリー決算時期に積極販売したいのは在庫車!
1年間の販売実績を算定するのが3月という企業は多い。決算、つまり2021年4月~2022年3月までにどれだけの利益が出たのか、売り上げはどうだったのかを確認する時期だ。良い企業業績を内外に示すため、締めくくりの月は大切になる。
ディーラーにとって、クルマの利益が計上されるのは「登録」のタイミングだ。登録は、ユーザーの注文したクルマが完成し、ナンバープレートを取り付けるときである。したがって、現在短くとも3カ月程度といわれている新車の納期では、3月中に注文を受けても、月内に登録することは難しい。
決算セールと2月頃からうたい、新車の販売を進めているように見えるが、実際の年度内利益にはカウントされない販売が多いのも事実。最近の決算セールは、決算のためではなく次年度への積み上げという意味合いが強い。
もちろん在庫車や中古車なら、3月中旬頃までに注文が入れば、ギリギリ月内登録が可能だ。本当の意味で、決算のために行うセールなら新車よりも中古車や在庫車を売りたいのが、ディーラーの本音でもある。
出足好調のノア・ヴォクシー、予想納期1年でも勢いは衰えず
約7万台の受注を集め、人気の度合いもほぼ横並び(若干ヴォクシーが先行)となっているノア・ヴォクシー。販売の勢いが増すごとに、その納期も延びていき、現在ではおおむね半年以上、装着オプションやグレードによっては1年近くの納車待ちとなっている。
ライバルとなるステップワゴンが先行受注をスタート(正式発表は5月)し、ノア・ヴォクシーの動きが鈍化するという見方もあったが、現場での売れ方に大きな変化はないという。
初期受注の段階では、他メーカー車からの乗り換えが目立っていたが、波は変わって現在はノア・ヴォクシーユーザーの乗り換えが進んできた。先代の登場が2014年であり、現在8年が経過する。新車購入したユーザーは、2023年4回目の車検(9年の保有)を迎えることもあり、2014年式の代替が目立っているようだ。
納期が約1年ということで、2023年迎える車検の前に乗り換えるためには、既に発注を終えていないと厳しいユーザーも多く、車検前代替のかけ込みが増えているとのこと。
ディーラー営業の動きでは、これまで車検6カ月前の点検時に、新車の提案をするのが王道だったが、現在では車検12カ月前の法定点検時に、新車提案をするとよく売れるという。新車納期が長期化するなかで、販売店の営業戦略も変化しているようだ。
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