「小さな高級車」はこれが最適解? 本家ノートを食ったノートオーラ爆売れの秘密

■「渋好みの変化点」を積み重ねて高級さを演出

 前述のとおり、ノートとオーラの実質的な価格差はそれほど大きくないから、ユーザーをオーラに誘導するうえでハードルは高くない。あとは、ノートとオーラがきちんと差別化されていて、購入した人の満足度をいかに高めるかがポイントだ。

 そこでいちばん重要なのは、オーラが「単なるノートの上級モデル」と認識されないことだから、そこには並々ならぬ工夫がある。

 例えば、ライトを薄型化したフロントマスクや、後部フェンダーを膨らませて全幅を40mm拡幅したサイドラインなど。このへんは2台並べて見ないとどっちがどっちだかわからないくらい微妙なんだけれど、それでもよく見ると確かにオーラのほうがクォリティ感がある。

こちらはベースモデルのノート。ボディカラーがビビッドブルー/スーパーブラックというのもあるが、オーラより軽快で若々しいイメージ
こちらはベースモデルのノート。ボディカラーがビビッドブルー/スーパーブラックというのもあるが、オーラより軽快で若々しいイメージ

 インテリアも同様で、ファブリック仕上げのインパネ上面や木目調パネルの加飾が識別点だが、これまた「知らないとわからない」微妙な差別化がほどこされている。

 一見するとまったく同じに見えるメーターディスプレイは、オーラには12.3インチのワイドなカラー液晶パネルが採用されていて、表示される情報のバリエーションを拡大。そのほか、フロントドアガラスに遮音ガラスを採用するなど、けっこう細かいところで細かい装備がアップグレードされているのだ。

■最小限の変更で余裕ある走りを

 さらに、ダメ押しとなるのがパワースペックの違いだ。モーター出力はノートが85kW/280Nmに対して、オーラは100kW/300Nm。両車とも、エンジン(HE12DE)の出力は60kW/103Nmで共通だから、これはパワーコントローラを制御するソフトウェアの差に過ぎないのだが、こういう走行に関わる部分もちゃんと作り分けられているのは手が込んでいる。

 オーラの商品企画のキモは、「パッと見ではあまり違いがなく見えるがが、実は細かいところでけっこう差がある」という渋好みなキャラクター設定。そこが、実に巧みに作り込まれているのが魅力になっているように思う。

 正直に言うと、ボクは最初にオーラの存在を知った時には、うかつにも「ノートとの差が少ないわりに価格が高く、あんまり売れないのでは?」と早合点してしまった。

 その後、試乗会で走りを体感した際には、「お、乗り心地や静粛性なども、ノートよりだいぶ上質だね」と好感度アップ。さらに、日産のマーケティングチームの人と対話することで、このクルマが綿密なマーケティング戦略に基づいて作られていることがわかってくるなど、理解が進むほど尻上がりに評価が高まっていった。

■ノートオーラの原点は先代ノートNISMOにあり!?

 そこで思い出したのは、先代のノートe-POWERで、NISMO仕様がクルマ好きだけではなく、女性ユーザーにもきわめて評判がよかったというエピソード。ノートe-POWER NISMOは開発チーム主導で作られたのかもしれないが、走りの機能以外でも上質感が意外なほど高く評価され、それが女性ユーザーの取り込みにつながったらしい。

 その手法をさらに拡大して、独立した派生車種を新たに作ったのがオーラなんじゃないか? これがボクの見立てなんですが、さて皆さんはどう思いますか?


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