ベンツ BMW ヒョンデ… 日本勢は勝てるのか?? 輸入EVの実力を一斉チェック!!

■日本再参入のヒョンデEVを国沢光宏がチェック! 「日本メーカーは危機感を持て」

ヒョンデIONIQ 5。試乗車は後輪駆動ベースの4WD。踏むと気持ちよ〜く曲がる!!
ヒョンデIONIQ 5。試乗車は後輪駆動ベースの4WD。踏むと気持ちよ〜く曲がる!!

 ある程度はわかっていたけれど、実車を見てハンドル握って走り出したら「こりゃマズいぞ」。

 日本人だと韓国車だというだけでショッピングリストに載せないだろうけれど、アメリカに住んでいるアメリカ人や、欧州に住んでいる欧州人なら、この価格帯の電気自動車を買おうと考えた場合、最有力候補になるほど魅力的だったからだ。

 ちなみに競合車は日本勢だとbZ4X、ソルテラ、ARIYA。海外勢ならテスラ・モデル3やVWのID.4といった主力車種です。

 そもそも圧倒的にお金がかかっている。ヘッドライト回りひとつ取ってみても、驚くほど精密に加工されたLEDの多灯式で、灯体の内側に模様を入れ、しかもバンパー上面が発光するというメチャクチャ凝った作り!

 タイヤは内側に吸音材が入っているミシュランのパイロットスポーツEV(このタイヤ、高いです)。インテリアだってアウディと比べたってまったく遜色のない質感を持つ。エクステリアデザイン、写真で見るよりずっと魅力的だ。

 前置きはこのあたりにして試乗といきましょう。

 プッシュボタンで起動。Dレンジをセレクトし走り出す。電気自動車で一番難しい「走り出し時のスムーズさ」についちゃ文句なし。コギング(模型用モーターを手で回すとクリック感あると思う。電気自動車でこれを完全に消す技術は難しい)だって感じない。

 試乗車は305psのAWDとなり、0〜100km/h加速5.2秒という性能の持ち主。動力性能は公道だと使い切れないレベルですね。

 興味深いのは後輪駆動ベースという点である。「走りの楽しさを追求したかった」そうな。コーナーでアクセル踏むと、後輪から駆動力を立ち上げる。クルマの基本構造からして重い電池をホイールベースの間の低い位置に積み、前後の重量配分が極めてよい。

 そのうえで後輪から駆動力を立ち上げているものだから、アクセル踏むと気持ちよ〜く曲がっていく。考えてみたらヒョンデ(韓国での発音とのこと)もWRCに参戦しており、ノウハウを持っている。

 書き遅れたがアイオニック5の開発は欧州ベース。デザインも欧州。日本車より欧州の技術がたっぷり入っているんだと思う。

 例えば先行車がいなければコースティング(電車のような空走)、先行車がいれば、回生させ車間距離をキープするBMWやアウディと同じ制御を入れている。電気自動車は電費も伸びるし、運転が楽です。

 驚いたことにブレーキシステムも、トヨタと同じ100%ブレーキバイワイヤ(日産やホンダも未採用)としているそうな。

 足回りだっていい。欧州のノウハウを使っている現代モービスのダンパーは滑らかに動くし、ステアリングフィール素敵と思ったら、アウトランダーPHEVやレヴォーグのようにWピニオンのステアリング(モーターがラックに直接付いている)という。

 もうすべての点で「凄いね!」の連続だったりする。遠からずカーシェアの『エニカ』で誰でも乗れるようになるというから、ぜひとも乗って驚いてほしい。

(TEXT/国沢光宏)

■MIRAIより売れている? FCVのNEXOもチェック!!

SUVスタイルのFCVとして登場したNEXO
SUVスタイルのFCVとして登場したNEXO

 ヒョンデが日本再上陸するにあたり打ち出してきたのが「環境自動車をメインにしていく」という作戦だ。

 だからこそスタートアップのモデルバリエーションは、最新の電気自動車である『アイオニック5』と、MIRAIの航続距離850kmに迫る820kmを持つ燃料電池車『ネッソ』(ベストカーではすでにネッソの試乗レポートを掲載ずみ)の2車種のみ。改めてネッソの紹介をしておきたい。

 MIRAIと違うのは人気のSUVボディを選んだこと。狙いが当たったらしく、世界販売台数を見るとMIRAIより好調に思える。スタック出力129ps(MIRAIは174ps)。車重1870kg(同1920kg)で案外軽く、163ps(同182ps)のモーターで走らせます。

 絶対的な動力性能は標準的なガソリンエンジン積んだSUVと同じくらいをイメージすれば間違いないだろう。

 先代MIRAIと新型MIRAIの中間くらいの時期に出てきた燃料電池車として評価すると「大変よくできました」。燃料電池の稼働音は静か。SUVという不利さのためか乗り心地が少しゴツゴツするのを除けば快適です。

 補助金も全額(国から250万円。東京都だと別ワクで135万円。合計385万円)出る。400万円を切る金額になる。韓国というだけで敬遠する人もいるだろうけれど、クルマに罪はないです。

(TEXT/国沢光宏)

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