購入後には定期的な整備が必要となるクルマ。基本的な油脂類の交換に始まり、長く乗っていれば、足回りやエンジンルーム内など、各所の部品交換も必要となる。
一般に、ユーザー自身が「整備」を行うことは少なく、ディーラーをはじめとしたプロにお願いするのが通例だろう。ユーザーから整備を任されるプロたちが、一様に「良い!」と唸るクルマが、トヨタには数多くある。
メカニックフレンドリーなトヨタ車は、1台のクルマを長く保有する点でも有用だ。現役整備士に話を聞き、整備性が高いと挙げられたトヨタ車を紹介する。
文/佐々木 亘
写真/TOYOTA(トップ画像=standret@AdobeStock)
■ユーザーにもメカニックにもユーティリティ シエンタ(NHP170型)
整備性について良い話しか聞こえてこないのがシエンタだ。エンジンの搭載位置や向き、内部の空間や各種パーツの取り付け位置など、整備士を泣かせる部分はほとんど無い。オルタネーターやウォーターポンプの交換などが、非常にやりやすいと評価が高い一台である。
また、エンジンオイル交換がやりやすいのもシエンタの特徴だ。
一般的にジャッキアップ(リフトアップ)をしなければ、オイル交換(エレメント交換)は無理というクルマが多い中で、シエンタはステアリングを右いっぱいに切ると、ジャッキアップ無しでもオイル・エレメント交換が、なんとかできてしまう。
ドレンボルトの位置が絶妙で、オイルフィルターカバーもすぐ横にあり、廃油の排出方向からオイルフィルターの取り付け向きに至るまで、作業性を考えて作り込んでいるのが分かる。
ガソリン4WDとハイブリッドモデルに搭載されるのが、神の整備性と言われる1NZ-FE型エンジン。シンプル構造と故障の少なさは、ディーラー整備士以外からも、賛辞の声が寄せられた。
トヨタディーラー整備士だけでなく、他社メカニックからも熱い視線を注がれているのがシエンタなのである。
■トヨタ×ダイハツの黄金タッグ ルーミー(M900A型)
整備性の高さに定評のある、トヨタとダイハツがタッグを組んだ1台。両社の良いところが集まって、整備しやすいと評判のクルマだ。
こちらもエンジンルームに注目が集まる。搭載されているのは1KR-FE型エンジンだ。
室内スペースを十分に確保するため、エンジンルームに割かれる空間は非常に少ないが、それでもエンジン一式とバッテリーを積み込んでなお、空間に余裕はある。エンジンの直上にエアクリーナーエレメントが、エンジンカバーのように置いてあるのも特徴的だ。
エアクリーナーエレメント交換、バッテリー交換は難なく終わるし、少し深い位置にありそうなエンジンプラグの交換も、エアクリーナーエレメントを外せば、すぐに作業ができる。
同じく共同開発のライズも、整備性が良いクルマと言われるが、ルーミーのシンプルさには劣ってしまう。ライズは少々ホース類の取り回しが複雑で、エンジン周囲のパーツが外しにくい部分もあるそうだ。
常に複数メーカーの整備士が携わる共同開発車やOEM車だからこそ、トヨタ・ダイハツは手を抜かず、メカニックが診やすいクルマを作り続けている。
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