東北地震でその対応の速さに賞賛集まる! なぜNEXCOは高速道路を迅速に修復できるのか!?

■民営化後から大きく変わった質

 日本道路公団が分割民営化され(2005年)、NEXCO3社になったことで、なぜか災害復旧が非常に迅速になったのである。これはあくまで推測だが、日本道路公団時代と民営化後とでは、指揮系統の質が大きく変わったのではないだろうか。

 日本道路公団、公団はまさにザ・お役所であり、お殿様だった。現場で動く兵士、つまりゼネコンやその下請けの建設業者たちは、お殿様の言われたとおりにやるのみ。公団時代はそういうルールになっていたので、公団職員は職務に忠実だったに過ぎないが、緊急事態でも前例踏襲の慎重なるお役所業務を続けていたと思われる。

 談合(官製含む)もはびこっていた。建設業者側にすれば、順繰りで落札できれば確実に利益が上がるいっぽうで、現場の工事は、工法も含め、すべて「指示どおりに造って納品する」のが至上命題。そこには現場の創意工夫が入り込む余地はなかった。

 こういった親方日の丸の弊害により、日本道路公団はとんでもない負債を抱え、このままでは第二の国鉄になると言われるほど財務状況が悪化した。

 民営化後は、そのあたりが大きく変わった。官製談合は消滅し、真剣な入札合戦が行われるようなると同時に、建設会社側の提案でコストダウンが実現した場合は、インセンティブが与えられる制度が新設された。民営化委員会の答申が生んだ大きな成果である。

 当然現場は、さまざまな提案を行うようになる。NEXCOもそれを歓迎するという、いい循環が生まれた。

 民営化後しばらくは、過度な安値入札が頻発し、工事のクオリティ低下も心配されたが、その後赤字入札の歯止め策が講じられ、関係は安定した。

 その過程で、発注者であるNEXCOと現場の建設会社の間には、「ともに高速道路を作って守る仲間」という、公団時代にはなかった連帯感が生まれたのではないか。

 NEXCOが東、中、西の3社に分割されたことで、お互いに競争意識を持つようになった面もあるだろう。中日本がいいところを見せれば、東や西だって頑張らないわけにはいかない。

 そういった要素が最高の形で発揮されたのが、2011年の東日本大震災時だった。NEXCO東日本は、常磐道の大規模な盛土崩落(延長150メートル)に際し、わずか6日間で復旧させた。

 その時のストーリーを読めば、NEXCOの現場担当者が指揮官として的確な判断・指示を行い、大きな成果を上げたことがわかる。軍隊は急には強くなれない。日頃の訓練が重要なのはもちろんだが、指揮系統の整備もまた、同等かそれ以上に重要なのである。

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