新規車種の登場に世のなかが沸き上がるいっぽうで、ひっそりと姿を消していく絶版車が存在する。数多くの車種が投入されるが、ロングセラーとなるのは一握りだ。
これまで、時代の変遷とともに、引退を余儀なくされたクルマはいくつもあるが、その存在が特に多いのはトヨタだろう。
トヨタ絶版車のなかから、筆者が「これは残してほしかった」と思うクルマを5台選んだ。令和の今、彼らがいたら、どれほどの活躍ができただろうか。その魅力を紹介していきたい。
文/佐々木亘、写真/TOYOTA
【画像ギャラリー】 今、販売現場にあったら助かった!! 個性豊かなトヨタの絶版車たちを写真で見る(27枚)画像ギャラリーセリカ
1970年に登場し、日本を代表するスペシャリティカーになったセリカ。歴代モデルは、全て先鋭的なデザインが特徴で、フェアレディZやスカイラインのライバルとして、戦った過去もある。
現在のトヨタにはない、クーペボディにFF(4WD)という組み合わせは、スポーツカーへの敷居を下げたように思う。セリカがあった時代は、気を張って選ばなくても、スポーツカーに乗れていた。生産終了となった2006年までは、カッコいいクルマが、安価で身近にあったように感じるのだ。
WRCやNASCAR、スーパーGTなどの、レースにも多数登場し、セリカというクルマがいたからこそ、クルマを好きになるという人も多かったはず。筆者も、4代目・5代目・6代目と、セリカに魅せられた子どもの一人だ。
クルマに興味をもつきっかけを、子どもたちに与えてくれるクルマだった。クルマへの興味関心が薄らぐなかで、セリカのようなクルマがあれば、販売現場はどんなに助かるだろうか。
オーリス
カローラランクスの兄弟車である、アレックスの後継車種として登場したオーリス。全長4220mmのショートボディに、全幅1760mmという5ナンバー枠をはみ出した寸法は、欧州市場を強く意識したものである。
ステーションワゴンのような長さはなく、ヴィッツのようなコンパクトでもない。中途半端にも思えるボディサイズだが、これが良かった。後席に人を乗せても不満は出ないし、ラゲッジスペースは充分に広い。一人で乗っていても違和感のないサイズ感で、単身者から少人数のファミリーにウケたクルマだ。
初代モデルでは、エントリーグレードの価格を162万2250円とし、若者が1台目に買える、ちょっと良いクルマの役割を充分に果たした。後継となる、現行型のカローラースポーツは216万9000円と少々高い。
使い勝手のいいショートワゴンを1台目に買えば、ユーザーのライフステージが変わっても対応が効く。こうした人生のなかで幅広く使えるクルマが、今の日本では少なくなった。
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