これが三菱好調の象徴!! デリカD:5、新型アウトランダーPHEVの魅力と三菱自動車の真の実力とは?

■唯一の立場を確立しているという強み

 デリカD:5は、なぜこのように安定的に売れ続けるのか。販売店に尋ねると以下のように返答された。

「ミニバンは車種が豊富だが、デリカD:5のデザインと悪路走破力については、似通ったクルマが存在しない。そのためにデリカD:5は、発売されて15年を経過しながら売れゆきが下がらない。高値で売却できることもあり、デリカD:5を何台も乗り継ぐお客様が多い。特に2019年にフロントマスクを大幅に変えて安全装備も充実させたから、販売に一層の弾みが付いた」。

 販売店の話にあるとおり、デリカD:5は2007年1月に発売されたから、今では15年を経過する。それでもSUV風の外観、余裕のある最低地上高、ロックモードを備えた4WDなどを備えたミニバンは、デリカD:5だけだ。「ミニバンスタイルのSUV」と認知されている。

 さらにデリカD:5は、実用回転域の駆動力が高いクリーンディーゼルターボも搭載する。デリカD:5以外でディーゼルを搭載する国産ミニバンは、グランエースだけだ。

 デリカD:5は空間効率も優れ、全長が4800mm以下のミニバンでは、車内が最も広い。特に3列目シートの足元空間は、新型ヴォクシー&ノア、新型ステップワゴン、セレナなどよりもデリカD:5が上回る。

 以上のようにデリカD:5は、SUV風の外観と優れた悪路走破力に加えて、クリーンディーゼルターボ、広い室内といった実用面のセールスポイントも多い。これらの特徴が人気を呼び、デリカD:5は、数年後に売却する時の価値も高い。

残価設定ローンの3年後の残価率(新車価格に占める残価の割合)は55%に達する。一般的に3年後の残価率は40~48%で、55%は人気の高いアルファードと同じだ。

■アウトランダーの魅力も三菱自動車ならでは

 そして新型になったアウトランダーも、デリカD:5と同様の特徴を備える。外観はダイナミックシールドのデザインで仕上げられ、ヘッドランプは左右に縦方向に配置した。ほかのどのSUVにも似ていない独特の顔立ちだ。

 内装も個性的で、ワイドな水平基調に仕上げた。各部の作りも上質だ。新型はPHEV(プラグインハイブリッド)のみで、ノーマルエンジンは用意されないが、3列目シートを備える7人乗りも選択できる。国産SUVのハイブリッドやプラグインハイブリッドで、3列シートを装着するのは、アウトランダーとレクサスRX450hL程度だ。

 そしてプラグインハイブリッドの駆動用電池は20kWhと大容量で、充電された電気により85kmを走行できる。ハイブリッドシステムは、基本的には前後に搭載されたモーターによって駆動され、モーターには駆動力を機敏に増減できる特性がある。そのために電子制御により、ブレーキまで含めた4輪の綿密な制御を実現させた。

 この効果により、アウトランダーは全高が1700mmを上回って車両重量もすべて2トンを超えるが、走行安定性が優れている。カーブを曲がっている時にアクセルペダルを踏み増しても、旋回軌跡を拡大させにくい。

 以上のようにアウトランダーには、ほかのSUVとは異なる特徴が多い。フロントマスクから内装の造り、プラグインハイブリッドと3列シートの組み合わせ、モーター駆動を生かした積極的に攻められる運転感覚など、いずれもアウトランダーならではの魅力だ。

■独自性の表現に成功している

 デリカD:5も含めて、今の三菱車は、ほかのメーカーやブランドとは違う独自の路線を歩んでいる。三菱は本来そのようなメーカーだったが、改めて特徴を際立たせるようになった。

 そして今のミニバンやSUVにとって、デリカD:5やアウトランダーのような個性はとても大切だ。人気のカテゴリーとあって車種が多く、ミニバンは車内の広さを重視するから外観が似たデザインになりやすい。SUVも今では新車として売られる小型/普通車の約30%を占めるから、特徴を明確に表現しないと埋もれてしまう。

 その意味でダイナミックシールドは、古くからSUVを手がけてきた三菱の伝統と技術を上手に表現している。しかも多くのユーザーが見てカッコよく感じられるから、優秀なフロントマスクといえるだろう。

 また、今の三菱の軽自動車は、日産と共同開発され、基本部分を共通化している。開発の過程では三菱の思いどおりにならない面も多かったと思うが、eKクロスやeKクロススペースは、軽自動車の厳しい寸法的な制約のなかで、ダイナミックシールドのデザインを自然な見せ方で表現した。

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