EVないけど本当に大丈夫!? スズキがインドで描くEV勢力図と日本市場の今後

■ライバルメーカーも舌を巻く徹底したコスト管理

 またダイハツ以外の他メーカーの開発者は、「スズキのようなクルマ造りは弊社ではできない」と口をそろえる。理由を尋ねると「企画、開発、生産、さらに営業部門まで、すべてにわたってコストを抑えているから」という。

 ここにはメリットとデメリットが混在する。先に述べた車両重量が軽く、燃費が優れ、価格の安いクルマを開発/製造できる代わりに、すべてが高コストな電気自動車には着手しにくい。

 昔話をすれば、1970年代に実施された排出ガス規制でも、スズキは苦労して、トヨタの傘下にあるダイハツの手を借りたことがあった。スズキは内部的には既に電気自動車の開発を進めているが、商品化されるのは、低価格で提供できる見通しが立ってからだ。

 このことは主に軽自動車を使う人達の利益に結び付く。軽自動車が早々に電気自動車だけになり、価格が高まれば、公共の交通機関が未発達な地域で暮らす人達の家計を圧迫するからだ。

 特に高齢者には、中古の軽自動車を購入して、日常的な買い物や通院に使う方も多い。それなのに最初の届け出が2015年4月1日以降に行われた軽自動車では、軽自動車税が従来の年額7200円から1万800円に増えてしまう。さらに最初の届け出から13年を超えると、1万2900円に増税される。自動車重量税も、13年を超えると、車検時に納める2年分が6600円から8200円に高まる。

 これは困っているユーザーをさらに苦しめる悪法だから、即座に撤廃すべきだ。増税に苦しんだ揚げ句、新車を買えば自動車業界が潤い、増税に耐えれば税収が増える。この増税を続けると、自動車業界と国が結託して、経済的に弱い人達を苦しめていることになってしまう。

 軽自動車が電気自動車になった場合も、ユーザーの負担は増える。自宅に充電設備を設置する必要が生じて、新車価格に吊られて中古車価格が高まることも予想されるからだ。駆動用リチウムイオン電池の劣化により、航続可能距離が短くなって不便が生じたり、電池の交換を迫られることも考えられる。

 軽自動車は車両価格と維持費を安く抑え、誰でも安全かつ便利に使えることが不可欠だから、スズキやダイハツは最後までエンジンを搭載する安価な軽自動車を造り続ける。それが軽自動車を手掛けるメーカーに課せられた使命であるからだ。

 従って「スズキは電気自動車に乗り遅れている」と見るのは妥当ではない。少なくとも軽自動車は、ほかのカテゴリーとは背負っているユーザーが大きく異なり、価格や維持費を高めることは許されないからだ。

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