■マイチェンでダメ押しの一手! 車中泊にも最適なパッケージングがキモ
そんなシエンタの人気を一気に押し上げたのが、2018年9月のマイナーチェンジだった。
エクステリアではフロントグリルなどの意匠変更を行い、例の派手なフレックストーンを廃止。カラフルな樹脂パネル類はすべて黒に統一され、シックなボディカラー、ツートーン全6色を新設定。より落ち着いた大人っぽいデザイン、見映えになったのだ。
とはいえ、2代目シエンタのコンセプト、Fun&Activeなキャラクターをそのまま進化させていることは間違いなかった。
後席を倒すだけで拡大したラゲッジルームの長さは1710mmに達し、ヘッドレストを逆付けすれば身長180cmの人でも真っすぐに寝られる、今大ブーム中の車中泊にも対応してくれるのだから完璧にもほどがある。
■フリードに対抗!? 5人乗り仕様はラゲッジ&シートのデキもお見事
しかし、シエンタ大ヒットの要因はそれだけではない。ホンダ・フリードにあった2列シート仕様を「FUNBASE」として追加。空前のアウトドアブームの最中でもあり、大容量ワゴンとしての魅力、使い勝手の良さをアピール。ここだけの話、2列目席は3列シートのシエンタとは異なるもの。よりかけ心地がいいのである。
具体的には、よりソファ感覚ある、座面に底付き感のないより厚みあるかけ心地を実現。
その秘密はシート構造にあり、3列シートモデルの2列目席は鉄ワイヤーでクッションパッドを受け、ウレタンフォームのたわみでクッション感を出しているのに対して、FUNBASEの後席(2列目席)は、伸縮スプリング付ワイヤーでクッションパッドを受ける、より座面がたわみやすいコンターマット構造を採用しているからだ。
シエンタ初の2列シートモデルの威力は抜群で、もちろん、ラゲッジスペースは大容量。開口部地上高は地上530mm(ローデッキ状態。ハイデッキ状態では610mm)とごく低く、重い荷物の出し入れも楽々。
ラゲッジフロアは奥行き935mm、幅1060mm、天井高930~1100(デッキの位置による)mmと広大。しかも床下にもしっかりとした収納があり、日常から旅行、アウトドア、小さな引っ越しなどで頼りになる、コンパクトカーとは思えない積載力を発揮。ユーティリティフックによってラゲッジスペースを多用途に使える点も見事だ。
さらに、HVモデルに至っては、フリード+HVに望めない、車内外でコーヒーメーカーや簡易電子レンジなどが使えるAC100V/1500Wコンセントを用意。アウトドアから災害時まで、大活躍必至なのである。
その後、アウトドアブームに乗っかったグランパーというアウトドア仕様車も登場し、シエンタ全体の人気を不動のものにすることに成功したのである。
■今やトヨタの看板車種に! 不満は先進安全装備程度か!?
何しろ、2018年12月には国産乗用車販売ランキングでアクア(もちろん先代)に次ぐ2位に。その勢いは止まらず、2019年8月、9月にはなんとなんと、プリウスやノートを抑え、1位に輝いたほどだ(前年同月比157・9~185・4%の台数が売れた)。
つまり、筆者としてはシエンタそのものの親しみやすいミニバンというキャラクター、使い勝手の魅力、ガソリン車で180万円台~、HVでも220万円台~手に入る買いやすさ。それに加え、2列シートの大容量ワゴンと呼べる「FUBBASE」の追加が時代にマッチし、人気を一段と加速させたと考える。
ここ最近は販売台数でライバルのフリードに譲っているものの、現行、2代目のデビューから7年を経ても、人気の根強さはいまだ健在だ。
ひとつだけ注文を付けるとすれば、ノア&ヴォクシーなどの新型車より古い先進運転支援機能=トヨタセーフティセンスの進化・充実を望むぐらいだろうか。ズバリ、お薦めはFUNBASEのHV、ブラックマイカ×ベージュの2トーンカラーボディだ。
【画像ギャラリー】シエンタ人気のワケは5人乗り仕様にアリ!? その車内は文句なしのデキ(12枚)画像ギャラリー
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