ピックアップ実は大人気!? ハイラックスの大成功に他メーカーが追従しないナゼ

日本でもハイラックスがじわじわ増加中!! じつはハイエースより売れている!?

2017年に国内復活を果たし、大ヒットとまではいかないが好調な販売台数をキープ!! とくにフロントフェイスの変更や先進安全装備の強化を施したマイチェンも追い風に
2017年に国内復活を果たし、大ヒットとまではいかないが好調な販売台数をキープ!! とくにフロントフェイスの変更や先進安全装備の強化を施したマイチェンも追い風に

 というわけで、ここからが本題である。タイで人気のピックトラップのうち日本で販売している車種はトヨタのハイラックス(タイからの輸入車)だけだ。かつて三菱がトライトンをタイから輸入していたこともあったが、現在は行われていない。「ハイラックスは堅調に売れているのに、どうしてほかのメーカーは続かないのでしょうか?」というのが編集部から今回与えられたお題である。

まずは、日本でのハイラックスの販売状況を見てみよう。

2017年9月に導入し、右肩上がりに推移している。そして2022年3月までに3760台を売り上げるほど好調なのだ!!
2017年9月に導入し、右肩上がりに推移している。そして2022年3月までに3760台を売り上げるほど好調なのだ!!

 日本仕様が発売されたのは2017年の9月。スタートダッシュこそ鈍いが、2018年以降は販売台数を大きく落とすことなく堅調に売れていることがわかる。

 注目すべきは2021年だ、前年の1.5倍以上となる9960台を販売している。1ナンバーで商用車扱いとなっていることで国産車の新車販売ランキングには含まれないが、もしランキングに入れるのであれば三菱「エクリプスクロス」(8882台)、日産「マーチ」(8819台)、トヨタ「ハイエースワゴン」(8547台※バンは含まず)、ホンダ「シビック」(8520台)よりもラインキング上位となる。

 そして2022年は、3月までのデータでは2021年を超えるペースで売れているのだから、これまた驚きだ。2020年8月にはマイナーチェンジを実施してエクステリアデザインとエンジン&サスペンションの改良が施され、2021年10月にはGR SPORTモデルが追加されたことが人気を押し上げたに違いない。

 こうして販売台数をチェックしてみると、日本市場においては“バカ売れではないが、ニッチ商品としては地道に売れている”ということがわかる。これだけ販売できれば、日本導入が失敗ということはないだろう。トヨタは2020年8月のマイナーチェンジ時に月間目標台数を400台としていたが、それを大きく上回る実績となっている。

国内再参入は不可能に近いいすゞ……タイでバカ売れも販売網の再構築が非現実的

 では、どうして他メーカーはトヨタに続かないのか?

 まずピックアップトラックの聖地と言えるタイでマーケットリーダーに君臨するいすゞだが、日本でD-MAXを販売しない理由をひとことでいえば「個人に向けた乗用車販売の土台がない」からだ。

タイで絶大な支持を得ているいすゞD-MAX。アジアクロスカントリーラリーで活躍していることからも、現地ではブランドが確立しているのだ
タイで絶大な支持を得ているいすゞD-MAX。アジアクロスカントリーラリーで活躍していることからも、現地ではブランドが確立しているのだ

 同社はかつて「ビッグホーン」などSUVだけでなく「ジェミニ」などのセダン、そして「ロデオ」といったピックアックトラックを日本でも販売していたが、2002年をもって日本国内での扱いを終了。現在は個人向けの販売ネットワークを持ってない。すなわち個人向けに車両を販売する手段がないのだ。「バスやトラックを販売する拠点で扱えばいいではないか…」と思うかもしれないが、それでは日本導入を収益化できるほどの販売量は見込めないだろう。

 マツダの「BT-50」は同社らしく滑らかなデザインが特徴だ。しかし、マツダといえば「ブランドイメージの構築にふさわしくない。ミニバンではマツダを体現するデザインを実現できない」という理由で「プレマシー」や「MPV」を廃止してミニバンから足を洗ったメーカーである。そんなブランド戦略からも、日本においてピックアップトラックを展開するという選択はないだろう。

 余談だが、かつてのBT-50は資本関係が強かったフォードの「レンジャー」とメカニズムを共用していたが、現行モデルはいすゞD-MAXの兄弟車となっている。

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