日産は選択と集中!! 国内は電動化が先決
かつて「ダットサントラック」だった日産のピックアップトラックは、その後「フロンティア」と改名され、現在は「ナバラ」と進化している。日本にはどうして持ってこないのか?
結論から言えば、効率のいい商売を見込めないからだ。日産の国内販売ラインナップは、ひとことでいえば“選択と集中”。昨今の売れ筋ジャンルであるSUVですら、海外市場では多様な車種があるにもかかわらずEVを除けば「エクストレイル」と「キックス」のみとしていることからもわかるように、売れる車種に絞って集中することで効率よく商売を進めるのが日産の手法なのだ。
そんな同社にとって「多くの販売台数を見込めないピックアップトラックを日本でも展開する」という選択肢など、あるわけがない。
タイで大ヒットのトライトン再販はほぼなし…過去の失敗がアダに
2006年から2011年にかけてトライトンを販売していた三菱が、その後に続かなかったのは率直にいえばその導入が失敗体験となってしまったからだ。当初に輸入したロットと第2弾の数百台はあっという間に売れたが、その後追加輸入した車両は販売に苦戦。国内販売台数は1800台ほどに留まった(とはいえ当初の目標台数はクリアしたのだが)。
最終的には売れ残った車両を不良在庫として抱えたことがトラウマとなり、三菱は新たなるピックアップトラックの国内展開には及び腰となっている。
販売台数が読めないゆえライバルが追従せず
いずれにせよ、最大の理由はハイラックスほどの販売ボリュームを見込めないことにある。「海外で生産しているのだから販売台数が少なくても採算を取れるのでは?」と思うかもしれないが、それは大きな間違いだ。日本仕様の開発、型式認定や取扱説明書および販売資料の制作といった日本で売るための準備、そして販売後に長期にわたって必要となる補修部品の用意などには多額の費用が掛かる。ある程度の販売台数がないと採算が取れないのだ。並行輸入ではなくメーカー自身が正規輸入するにはそこがネックとなる。
最後にトリビアだがハイラックスの由来は、動物のハイラックスとは全く関係がないことをご存じだろうか。そもそも英文字の綴りをみると動物が「HYRAX」なのに対して、トヨタのトラックは「HILUX」と異なるのだ。トヨタは「『ハイラックス』は、英語の『Hi(高級な、より優れた)』と『Luxury(ラグジュアリー、贅沢な、豪華な)』からの造語」と説明する。そんなハイラックスが日本で成功した理由は、ピックアップトラックに対して「作業車ではなくアクティブにレジャーを楽しむクルマ」というニーズを上手に開拓したことだ。
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