■マイルドハイブリッドならガンコ者の内燃機関派も納得では?
それなりの出力のモーターと少量のバッテリーを積み、エンジンの苦手な領域をアシストしてくれる簡易的なシステムがマイルドハイブリッド。
トヨタのTHS IIなど、高電圧を使って効率を高めたストロング(フル)ハイブリッドに対し、控えめなハイブリッドと考えればいい。
ISGと呼ぶモーター機能付き発電機と専用バッテリーを追加し、減速した時に発生するエネルギー回生を利用して発電を行い、加速する時はその溜めたエネルギーを使ってエンジンをアシストする。
主役はエンジンで、モーターは脇役といえるだろう。
バッテリー容量が小さいからアクセルを閉じた時や低速時くらいしかエンジンを止めてモーター走行することはできない。
そうはいってもモーターを使うから再始動はとても素早い。また、小排気量のエンジンなら、モーターのアシストが小さくても燃費の向上を期待できる。
■搭載車種が多い理由は?
マイルドハイブリッドが増えているのは、パーツをシンプルに設計でき、コストアップが最小で済むからだ。
その肝となるバッテリーの電圧は12Vが主流となっている。だが、かつてトヨタは36V駆動に挑戦していたし、マツダのSKYACTIV-XのMハイブリッドは24V駆動だ。
ヨーロッパではモーターを動かす電圧を48Vまで高め、モーターをパワフルに動かそうと考え、48Vマイルドハイブリッドを採用するメーカーが増えている。
電圧が高いほうがモーターは出力を出しやすいから、エネルギー効果を高めて燃費向上の効果を高めようとしているのだ。
だが、電気系統を強化する必要があるから、12Vハイブリッドよりコストはかさむ。
■注目車はコレ!
マイルドハイブリッドで注目の日本車は、画期的な火花点火圧縮着火を用いたSKYACTIV-XにMハイブリッドを組み合わせたマツダ3とMX-30(いずれもマツダ)だろう。
クリーンでスーパーチャージャーの助けもあるから力強い。当然、実用燃費も優れている。
それにも増してドライバビリティがいいのが大きな魅力だ。加速時も減速時も思いどおりにエンジンとモーターが働く感覚がいい。ただし、あまりにも自然な感覚だから凄さがわかりにくい。
意のままに気持ちよく走り、実燃費もいいのがソリオとスイフト(いずれもスズキ)に搭載されているマイルドハイブリッドだ。
ソリオはモデルチェンジでマイルドハイブリッドだけに絞り込んだが、1.2Lのデュアルジェットエンジンは最新仕様になっている。これにベルト駆動兼発電機のISGを組み合わせた。再始動は驚くほど滑らかだし、加速も軽やか。しかも4気筒だから静かだ。
軽自動車のような小排気量車にこそマイルドハイブリッドは効果が大きい。日産のルークスと三菱のeKクロススペースはNAエンジンでも加速はそれなりに力強く、余裕を感じさせる。ターボは重いボディを意識させない。
輸入車ではISGを搭載した48VマイルドハイブリッドのメルセデスベンツC200がいい。1.5Lエンジンでありながら大柄なボディを苦もなく加速させ、応答レスポンスも鋭いなど、好印象だ。
走りの上質感は驚くほど高いレベルにあり、さすがベンツといえる仕上がりである。
(TEXT/片岡英明)
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