■両車に大きな差があるポイントとは?
この2台の比較をするときに、個人的に大きな注目ポイントは、内装の質感です。
ゴルフは元々ベーシックな大衆車ということもあり、8になって先進的な機能やデザインを取り入れてはいるものの、やはりシンプルで飾り気がないという印象。個人的には、すっきりしていて好きですが、「この価格帯でこれ?」と思う人はいるかもしれません。
それに対してオーラは、ファブリックや木目調のデザインを上手く取り入れていて、パッと見ただけでノーマルのノートとは全く別物だと分かる高級感があります。
インテリアは、自分の好みの家具のように落ち着ける雰囲気があるかどうかが大切だと思うのですが、ノート オーラは、上質感だけでなく居心地の良さを感じられる作りになっていました。
とはいえ、クルマの質感というのは見た目だけでは分からないもの。特にゴルフは、見た目よりも、「走る・曲がる・止まる」というクルマの基礎がしっかりとしているからこそ、魅力的なモデルです。それは、新型のゴルフ8に乗っても変わらないと感じました。
今回からマイルドハイブリッド化されたことで、これまでややネックになっていたDSGのギクシャク感が少なくなり、どんな領域でもスムーズに運転できます。ハンドリングは、ややクイックに味付けられていて、これまでの「切った通り走る」という印象から「思ったより曲がる!」という驚きを覚えました。
一方で、ノートオーラは、先代から大幅に走行性能が向上し、正直これまでは運転については何の感想も抱かなかったところから、はっきりと「運転していて気持ちがいい」と感じられるようになりました。
ノートオーラは、ノーマルモデルよりもパワーアップし、最高出力100kW/最大トルク300Nm(!)になっていることもあって、どんなシーンでも力強く余裕を持って走ることができるのも高ポイント。
少し気になったのは、ノートオーラは17インチのタイヤが標準装備になっていることもあり、やや乗り心地は硬めなところ。
それ以外は「欧州車に肩を並べた!」……とまでは言い切れませんが、私たちのように職業柄、目を三角にして「走りがいいかどうか」を確かめているような人でなければ、欧州車と遜色ないと感じられるくらい、走行性能の完成度も高いモデルになっています。
■ノートオーラはゴルフの壁を越えられたのか?
これまでのゴルフは、どれだけクルマを作りこんでも、強い個性や突出して良い/悪い点がないからこそ、誰にでも受け入れやすいモデルだったと思います。
私は、その朴訥としたクルマ作りが好きで、毎日乗ることでその良さをじんわりと感じられるモデルに魅力を感じてゴルフ7を購入したのですが、ゴルフ8は、以前のシンプルな価値観とは少し違ってきているのかなと感じました。
デザインもやや主張を感じるようになったり、走りもスムーズになったとはいえ、これまでと比べると添加物が入ってるような感覚があると思わせる部分もありました。
世界的にも電動化が進み、安全性の高さや先進的な装備が当たり前になってきたこともありますし、大衆車代表のゴルフと言えども、もう「走る・曲がる・止まる」だけでは、ユーザーに響かないだろうと考え始めたのかもしれません。
ゴルフ8は、まさにその間で揺れ動いていて、「一般のニーズに近づかなければいけない、でもゴルフの歴史を捨てることはできない」と方向性を決めかねているようにも思えました。
逆に、ノートオーラは、最初からしっかり目標を見定めていて、「輸入車に負けない質感を身に着ける、さらにこれまで日産が培ってきたプロパイロットやe-POWERなどの技術や、日本車ならではの気が利いた快適装備などをしっかり盛り込む」ということをしっかり達成しているモデルだと感じました。
走行性能だけに焦点を当てれば、ノートオーラはまだゴルフの壁は超えられていないかもしれませんが、ユーザーのトータル満足度で見れば、ノートオーラに軍配が挙がると思います。
ノートオーラの完成度を見て、これから輸入車を手にするとしたら、個性がしっかりあって「これじゃなきゃだめだ」と思えるモデルでなければ、このレベルの日本車には太刀打ちできないかも、とまで思ってしまいました……。ノートオーラ、恐るべし!
【画像ギャラリー】手頃なサイズと高級感で輸入車ファンからも人気を集める日産 ノートオーラ(8枚)画像ギャラリー
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