最新のノア/ヴォク・ステップワゴン? それとも熟成のセレナか? 商品力と納期で考えるミニバン選び

■ミニバン販売現場の事情

新車への乗り換えで車種が変わるのを嫌がる傾向が目立つミニバンユーザー。とすると有利なのは過去の販売台数が多いノア&ヴォクシーか?(写真はヴォクシー)
新車への乗り換えで車種が変わるのを嫌がる傾向が目立つミニバンユーザー。とすると有利なのは過去の販売台数が多いノア&ヴォクシーか?(写真はヴォクシー)

 ノア&ヴォクシー、ステップワゴン、セレナは“生活密着型”といっていいモデルで、子育て現役世代の日々の移動手段やレジャーで大活躍している。そのため、例えば男女カップルの場合、男性配偶者より女性配偶者のほうがステアリングを握る機会が多いともいわれている。

 販売現場などで話を聞くと、このクラスの女性ユーザーは新車への乗り換えで車種が変わるのを嫌がる傾向が目立つと聞いたことがある。

 同一車種でもフルモデルチェンジを行えば、必ずしもそのままとはならないのだが、「別のメーカー車に乗り換えると、操作系が変わるのが嫌だ」として、同じ車種を乗り継ぐことが多いというのである。

 そのため、過去の販売台数が多いノア&ヴォクシー系が、ノア&ヴォクシーユーザーの新型への乗り換えが目立つので、自ずと同クラスで販売台数が多くなるともいわれている。

 現行モデルでもしっかりと乗り換えを進めてもらえれば、一定台数の受注台数確保は可能で、これにプラスアルファで他メーカーやトヨタ内の他車種からの乗り換えを上積みすることで、同クラスで圧倒的な販売台数を誇っているのである。

 ただしそうはいっても、現役子育て世代なので、教育費を中心に生活費の負担が重いこともあり、新車購入予算は非常にシビアなお客が多い。そんなこともあり、車種決定権は女性配偶者が握っているケースも多いので、「一番安く買えるクルマを選ぶ」というケースも少なくない。

 それならば、現状では値引きも大きく、納期の早いセレナがもっと注目されてもいいのだが、いまひとつのように筆者は見ている。

 日産としても国内販売では数少ない量販の見こめるモデルなので、ライバルが新型になっていくなかで、商品価値を下げないための努力は怠っていない。

 セレナは2021年11月24日に特別仕様車“XVエアロ”を発売している。これはXVグレード(おとなしい)をベースに専用フロントバンパー、サイドシルプロテクター、リアエアロバンパーなどを特別装備しており、“標準仕様より華やかでハイウェイスターよりはおとなしめ”に仕上がっている。

2021年11月登場の日産 セレナ特別仕様車“XVエアロ”
2021年11月登場の日産 セレナ特別仕様車“XVエアロ”

「ハイウェイスターでは顔つきなどがギラギラしすぎているといった声が女性を中心に多いとの声を、このXVエアロに反映させたようです」とは事情通。ハイウェイスターの顔つきが少々ギラギラしすぎるというのは、販売現場でもしばしばお客から指摘されると聞いている。

 そこでノア&ヴォクシーやステップワゴンの新型が登場する前(発売前)に、魅力的な特別仕様車を用意して対抗しているのである。トヨタはギラギラをさらに強めたヴォクシーと、おとなしめなノアを用意することで売り分けているが、日産はセレナの中での売り分けを行おうとしていると見ている。

 セレナのことを“末期モデル”と前述したが、そこから一般的にイメージするほど、ノア&ヴォクシーやステップワゴンに比べ“古めかしい”わけでもない。

 最新型のノア&ヴォクシーでは車内にUSBポートが多数用意されているが、セレナでも前席1か所、セカンド、サードには各2か所ずつ用意されている。

 日産系ディーラーのセールスマンによると、「いまどきは、車内でもご家族個々でタブレット端末やスマホによって、それぞれ個別に動画投稿サイトなどを見て車内で楽しまれることが多いので…」と説明してくれた。

 一昔前のミニバンといえば、セカンド及びサードシート用に大画面ディスプレイを装着した、DVD再生を前提として“リアエンタテインメントシステム”を各モデルが競っていたが、いまや動画配信サービスも充実しているので、そこまで大げさな装備はニーズが減っているとのことであった。

 さらにセレナではリアゲートドアに“デュアルバックドア”を採用している。これはガラス部分だけを開けることも可能となっているものであり、買い物へ行った際のショッピングモールの駐車場などでの便利装備といえるだろう。

 さらに、サードシートの跳ね上げを説明してくれたのだが、「操作方法は新型ノア&ヴォクシーのほうが、はっきりいって便利です。セレナは多少難儀するのですが、その分サードシートのクッションなども厚みを持たせ快適性を重視しております」と、さりげなく語ってくれた。

次ページは : ■日産の武器「e-POWER」の思わぬ弱点

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

あのトヨタスターレットが再び公道に舞い降りる!? 日産×ホンダ協業分析など新社会人も楽しめるゾ「ベストカー5月10日号」

あのトヨタスターレットが再び公道に舞い降りる!? 日産×ホンダ協業分析など新社会人も楽しめるゾ「ベストカー5月10日号」

トヨタの韋駄天が覚醒する! 6代目NEWスターレットのSCOOP情報をはじめ、BC的らしく高級車を大解剖。さらに日産・ホンダの協業分析、そして日向坂46の富田鈴花さんがベストカーに登場! 新社会人もベテランビジネスマンまで、誰もが楽しめるベストカー5月10日号、好評発売中!