■日産の武器「e-POWER」の思わぬ弱点
パワートレーンも日産自慢の“e-POWER”なので見劣り感もないと言いたいところだが、ここら辺から少々風向きが変わってくるようだ。まだまだ世の中には「e-POWERとはなんぞや?」という人たちが多い。
「理解しきれていないパワートレーンよりは、トヨタやホンダはハイブリッドだから」となるケースもあるようだ。また、e-POWERの技術自体が十分理解できないなか、発電用に搭載しているエンジンが1.2Lというのもネガティブに働いてしまうようだ。
先代ステップワゴンはe:HEV仕様は2Lエンジンベースだが、ガソリンエンジン仕様の排気量は1.5ターボとなっている。先代モデルは2015年4月にデビューしているが、HEV(ハイブリッド車)が追加されたのは2017年9月となっている。
HEVが追加されるまでは、「このクラスで1.5Lというのは排気量が小さいのでは」という話もよく聞かれた。排気量が小さい分はターボで補うといったダウンサイズターボを狙ったのだが、とくに女性ユーザーからは、“ターボ=走り屋”といったネガティブなイメージを持つ人も少なくなかった。
ノア&ヴォクシーは、ガソリン車は2L、HEVは1.8Lエンジンベースとなっているが、それでも「1.8Lで大丈夫なのか」といった話が先代モデルで初めてラインナップした時にはあった。このクラスは長い間2Lエンジンが定番であり、このクラスを乗り継ぐひともいるので、排気量ダウンなどには敏感な反応はあるようだ。
そのようななか、e-POWERでは発電用とはいえ1.2Lという小排気量は購入を躊躇させてしまうこともあるだろう。
「納車は早めなのはいいが、カーナビが間に合わない(セレナはディーラーオプションのみとなり、カーナビの生産遅延のほうがひどい)かが心配になる」ともいわれるセレナ。もう少し売れてもいいようなのだが…。
ノア&ヴォクシーが深刻な納期遅延となっているのにお客を逃さず、受注に持ち込んでいるのは売り方の違いにある。
ここまで先が読みにくい納期遅延が続けば、「いますぐ欲しい」とか、「3か月後に車検がくる」といった、とくにフリーでの来店が目立つこのようなお客にはとてもではないが販売できない(トラブルの温床となる)。
そのため、トヨタ系ディーラーのセールスマンの多くは、自分がすでに新車を納めている管理ユーザーのなかから、「新車に乗り換えてもらえそう」というお客を選んでアプローチしている。
車検有効期限も1年以上余裕があり、そもそも新車へ乗り換えるつもりのなかったお客を買う気にさせて乗り換えてもらうので、長期の納車待ちもそれほど問題にならないのである。
「うちは全般的に納車も早いし、値引きも多いんですけど、納期遅延覚悟でトヨタさんを選ぶお客様が減らない」とは、日産系某セールスマン。
最近では残価設定ローンを利用する人も多いので、リセールバリューに着目したクルマ選びをする人も目立ってきているので、相場が安定しているトヨタ車を選ぶ人がより目立ってきているようである。
そのためセレナの勝機は新型ステップワゴンの正式デビュー後にあるのではないかと考える。ステップワゴンの購入検討客は、ディーラーの同じ店舗や同じセールスマンから買い続けるといった、“人のつながり”を重視せず、欲しいクルマをその時々に購入する“フリー客”が多い。
しかも、新型ステップワゴンはノア&ヴォクシーやセレナハイウェイスターのような、いわゆる“オラオラ系”とは決別したキャラクターとなっているので、「実車を見てから」という人も多いだろう。
そこで、「やっぱりおとなしすぎるなあ」と思った人を、XVエアロもしくはハイウェイスターで受け止めることができれば、その存在感はいま以上に高まってくることになるだろう。
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