■テスラの時価総額が驚異的なのはなぜ?
株式の時価総額は、その時点での株価×発行株数で算出。この数字を「その会社を買う時に必要な金額」と説明する人がいるが、それは間違い。
現在のテスラの時価総額は約100兆円だが、あくまでもそれは机上の数字。
イーロン・マスクがテスラの株を売りに出せば、株価が下がって時価総額も減少するし、逆に買いたい人が増えれば株価が上がって時価総額も上がる。
株価は期待値で決まると言われているけど、時価総額は期待値の合計と見るべき。
■テスラが短期間に認知された理由は?
2000年代、バッテリーのコストが高かったこともあって、「EVはシティコミュータから普及が始まる」という予想が多かった。
実際、初の量産EVの三菱 i-MiEVをはじめ、トヨタはiQ、ベンツはスマートをEV化。その延長に日産のリーフがあったわけだ。
ところが、イーロン・マスクは、最初にEVをビジネスとして軌道に乗せるには富裕層向けのプレミアムカーのほうが有望と見た。それがつまりモデルSだったわけだ。
クルマとして先進的で出来がよかったのはもちろん、マーケティングセンスも抜群だったということじゃないかな。
■日本で約1万1000台強の販売は凄い?
テスラは販売台数を公式に発表していないから、ボクもその数字を今回初めて知ったけど、率直に言って驚異的だ。
そもそも、クルマをオンラインで定額販売すること自体が、とりわけ日本では驚異的なのに、それが累計1万台を超えているなんてビックリ。
やはり、テスラにはアーリーアダプターを引きつける絶大な魅力があるんだねぇ。
■スペック未公表なのになぜ買うのか?
日本で販売しているモデルS、モデルX、モデル3のすべてでモーターの最高出力、最大トルクは非公表となっているが、テスラを買う人は、クルマというハードウェアを買ってるんじゃなくて、それが実現するサービスを買ってるってことかな。
充電時間〇分で□km走れて、擬似自動運転や独自のスーパーチャージャー充電網などを使うことができる。ユーザーはそれに対して、対価を払ってる感覚ですかね。
■クルマ界に衝撃を与えた技術、装備は何?
テスラ車でダントツ素晴らしいのはスーパーチャージャー(15分で最大275km相当分充電することができる)充電網の使い勝手。
高出力なのはもちろん、自動的にユーザーを認証して課金されるシステムなど、ソフトウェアの出来も本当に素晴らしい。
悔しいけど、現状の日本のイーモビリティパワーのサービスではまったく太刀打ちできません。
(ここまでのTEXT/鈴木直也)
■日本で買えるテスラ車、どーなの?
日本で買えるテスラ車は3種類で、すべてEVだ。馴染みがない人も多いので、その特性をチェックする。
テスラモデルSの受注が始まった2013年頃は、こんなに大容量の電池を搭載した電気自動車は存在しなかったし、強烈な加速感もエキサイティングそのもの。
新し物好きのハートを捉える、刺激的な魅力に富んでいた。
さらに、モデルSのもうひとつの特徴であるオートパイロット機能。これがハイテク好きのアーリーアダプター層を熱狂的に引き付けたと思う。
この「擬似」自動運転機能を乱用したユーザーの事故はアメリカなどでも問題になりつつあったが、限界をわきまえて使っていれば高性能ACCとして極めて便利。
“脱法ドラッグ”的な危うさはあるものの、規制に縛られた既存のメーカーではできないクルマを造る会社というポジティブなイメージで捉える人が多かったのだ。
かくして、テスラは電気自動車のスターとしてアッという間に認知された。その後、モデルX、モデル3がラインナップに追加され、大幅値下げでリーフe+並みの価格としたモデル3のヒットが注目されたのは記憶に新しい。
ただ、その後の資源価格の上昇などで1年で約120万円も値上げするなど、これまた「既存のメーカーではできないこと」をやってくるところもテスラらしい。
今後もEV市場の暴れん坊として目が離せない存在と言えるでしょうね。
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