■ノア&ヴォクシーのイメージが変わっていく
それでもノア&ヴォクシーの3ナンバー化には、ひとつ心配なことがある。それは売れ筋は従来型から3ナンバーサイズのエアロ仕様になっていたが、5ナンバーサイズの標準ボディも併せて用意されていたことだ。
登録台数は別にして、先代型のノア&ヴォクシーやステップワゴン、現行セレナには5ナンバー車があり、3ナンバーサイズのエアロ仕様は、その発展型に位置付けられた。これは5ナンバーサイズのミニバンというイメージをもたらす。
それなのに現行型のノア&ヴォクシーとステップワゴンは、5ナンバー車を廃止した。2022年の後半から2023年に登場する次期セレナも、現行型の売れ筋がハイウェイスターだから、3ナンバー専用車になる可能性が高い。ミドルサイズミニバン全車に通じる印象として、以前の馴染みやすさが薄れるかも知れない。
今の商品開発は「3ナンバーサイズのエアロ仕様が圧倒的な人気を得て、5ナンバーサイズの標準ボディは不人気だから、もはや5ナンバー車は用意する必要がない」というものだ。
この判断が正しいか否かは、5ナンバー車を廃止した直後の現時点では分からない。売れ行きの乏しい5ナンバーサイズの標準ボディが、一種の求心力として、エアロ仕様の陰で人気を支えていた可能性もある。
そして実際に、今でもミニバンに限らず5ナンバー車の人気は高い。2021年に国内で販売された乗用車の内、約35%を軽自動車が占めた。軽自動車も5ナンバー車に分類される。また5ナンバー車を中心としたコンパクトカー&5ドアハッチバックも、約25%のシェアを持つ。
軽自動車とコンパクトカー&5ドアハッチバックだけで、乗用車シェアの60%に達するから、シエンタとフリードのような売れ筋の5ナンバーミニバン、ライズなど5ナンバーサイズのSUVも加えれば、日本で売られる乗用車の70%以上が5ナンバー車で占められる。
この販売比率が定着している中で、ノア&ヴォクシー、ステップワゴン、セレナが3ナンバー専用車になると、売れ行きに悪い影響が生じる可能性もある。これらのミニバンの売れ行きは「日本の5ナンバー車の価値」まで明らかにするわけだ。「税金が同じだから、3ナンバー車でも構わない」という単純な話ではない。
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