間もなく生産中止となるホンダ車の功績を称えよう! 君たちは偉大 であったと!


 今年もホンダからはステップワゴンなど話題の新型車が発売される。その陰でわりとおなじみの名前の3車が7月以降に生産を終了し、販売も在庫のみでじきに終了となるだろう。

 人気が出なければ販売の終了はしかたないとは思うが、そこにはやはり何らかの理由があるはず。今回は日本で売れなかった理由を紐解きつつ、これまでの各車の健闘を称えたいと思う! 


文/清水草一、写真/ホンダ

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■インサイト、シャトル、CR-Vは続々生産中止へ

 ホンダの販売上で影が薄いトリオであるインサイト、シャトル、CR-Vの生産中止が秒読みに入っているらしい。インサイトは7月中、シャトルは8月、CR-Vは11月といったスケジュールが有力だが、さらに早まる可能性もある。

 インサイトの消滅は、7月のシビックハイブリッドの追加にタイミングを合わせるらしい。シャトルの消滅は8月実施予定のフィットのマイナーチェンジ時、CR-Vの消滅は、11月のシビックベースのミディアムクラス新型SUV(HR-V?)の発売と同時期に行われると予想されている。

 つまり、今回の3モデル消滅イコールモデル数の純減ではなく、市場に合わせたモデルラインナップの構築が目的だ。

■それぞれ魅力ある3車。でもそれが強力なウリとはなり得ず、販売は苦戦した

 考えてみればこの3モデルの消滅は、時間の問題だったかもしれない。

 インサイトは、どう考えても日本で需要があるとは思えないクルマだった。昨年の国内販売台数は2568台。月あたりわずか200台強である。一方、新型シビックは、端正なデザインとMTの設定によりスポーティなイメージが強まっていて、ハイブリッドモデルの追加は、ユーザーとしても望ましい。交代は当然だろう。

 シャトルの消滅は、ステーションワゴンファンとしては残念だが、ベースの先代フィットはとっくにモデルチェンジしているし、国内のステーションワゴン需要も縮小を続けている。昨年の販売台数は1万3636台で、それほど売れゆき不振でもなかったが、将来性を考えると致し方なし、というところか。

 CR-Vは、ガチライバルのRAV4に比べて価格設定が明確に高く、昨年の販売台数は4470台と、RAV4の10分の1以下にとどまった。このまま売り続けても打開の道はなさそうだし、それよりは、ややコンパクトなHR-V(?)に代替して、一からやり直したほうが、はるかに希望が見えるだろう。

 とは言うものの、インサイト、シャトル、CR-Vがダメだったわけでは決してない。どれも非常に優れた部分を持つクルマだった。

■3代目インサイトはシビックセダンベースのハイブリッド専用車として登場

 まずインサイト。このクルマ、なんとも異国(北米)情緒あふれる日本製のガイシャだった。

インサイトは新型シビックにハイブリッドが発表された時点でその役目を終えたと見るべきだろう。装備充実とはいえ、約320万円からの車両価格では200台/月の販売台数もしかたなかったか

 日本ではゆったりして見える大型なサイズとスポーティなルックスは、いかにも北米好みな雰囲気。流麗なルーフラインは一見ハッチバックに見えるが、独立したトランクを持つセダンというのも、意外性満点だった。

 ホンダはインサイトの上に、さらに大型のアコードというセダンがあり、ともに絶望的に売れていない。つまりインサイトの日本導入自体が謎だったが、謎はともかくとして、自分が北米に住んでいたら、このインサイト、すべてがちょうどよく、気持ちよく感じたような気がする。

 この比較的大柄なボディに組み合わされるのは、1.5Lのe:HEV。大柄に見えて車両重量は1400kg前後とそれほど重くなかったので、それで過不足ない走りを見せた。WLTC燃費は28.4km/L(LX)とかなり優秀。乗り心地はゆったりおおらかで、特に後席足元の広さは感動的。全体にとてもくつろげるクルマだった。

 個人的にはこのインサイト、国籍不明な「謎グルマ」として、憎からず思っていた。買う気はゼロだったが、こういうクルマがいてくれると、クルマ好きとしてなんとなく嬉しい。そんな理由で消滅を惜しまれても困るだろうが、とにかくクルマとしてはよくできていた。日本人として、北米や中国での活躍を祈りたい。

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