■水平対向12気筒のためのボディメイク
さすがのテスタロッサ(赤い頭)だ。オーラが違う。そして改めてデカさに驚愕。こんなものを載せて走ってるなんて!
「そうだねー。出した後の空洞をみてもわかるけど、スポーツカーっていうより、このエンジンを運ぶためのクルマなの? って言いたくなるよね」
重心を低くできるはずの水平対向だが、エンジンの下にミッションがある「2階建て」構造。後部に見えているのはクラッチなのだ。そして見たこともないような大きさのオイルフィルター。オイル交換だけでもかなりの出費がかかりそうだ。
「このフィルター高いのよー。4万くらいするよ。エンジンオイルは12L入るし、いいオイル使わないと怖いから、両方で10万くらいだね。ミッションオイルも10Lほど要るよ。プラグはまあ1800円くらいのだけど、12本だからね! ブレーキローターやパッドとか、同時代の348(V8フェラーリ)と比べても高価だね。そりゃまあ仕方ないでしょう」
むむむ。聞けば聞くほど12気筒の維持費がすごいことがわかる。けど、意外と普通の部分はないの?
「今回はタイミングベルトの交換なんだけど、その部品代は普通だったかな。けど、こんなふうにエンジン降ろすのも大がかりになるし、そのリスクも高い。どうしても工賃は高くなるよね。
でもカウンタックとかに比べたら、まだこのテスタロッサ系はラクなのよ。あれはクルマの前を持ち上げて斜めにして、エンジンミッションを引き吊り出すような形になるからね」
いやー、これでもまだラクだったとは! 全てが特別な世界なんだなあ。まあパジェロミニでオフロードを楽しんでる自分には無縁なのだが、とある友人が「456GTとかフェラーリFR12気筒モデルが他に比べてかなり安いけど、どうなの?何かワナでもあんのかな?」と言ってたことを思い出した。
「確かに新車時の値段からしたら、かなりお得な気がするよね。ホントにそのモデルに憧れて夢のクルマだった! とか、いくらお金をかけても維持したい! という愛と覚悟があれば止めないよ。
けど、安いの買って見栄をはりたい、とかだとたいへんな思いをするかもね。パーツ代、消耗品、工賃、税金(512TRは毎年10マン以上)……どうしても高くなるから」
なるほど、フェラーリに限らず、12気筒モデルならではのワナというかヤケド要素があるわけだ。それでもこの先こういうエンジンのクルマは減少していくだけだろうし、もう新型も望めないだろう。
てことは、燃料が供給される限り中古相場価値は上がるいっぽうだろうか。ホントに欲しければ買うのは「今でしょ?」と考えることもできる。
なんとも悩ましいところだが、「愛と覚悟」があるかたはチャレンジしてみてください。人生は一度キリなのですから。ブオーーーン!
【画像ギャラリー】貴重な体験!! フェラーリ512TRのエンジン降ろしをお手伝い!! 肌で感じた「12気筒」の凄み(10枚)画像ギャラリー
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