これぞプライスショック!! マツダCX-60の価格は果たして妥当なのか!?

■CX-60に対する疑問、懸念

マツダ CX-5。お得感のあるCX-60と比べると、逆にCX-5が割高に思えてきてしまう。価格帯のみで考えると、CX-60はCX-5の後継と見ることもできる
マツダ CX-5。お得感のあるCX-60と比べると、逆にCX-5が割高に思えてきてしまう。価格帯のみで考えると、CX-60はCX-5の後継と見ることもできる

 純エンジンの直6ディーゼルターボの価格をはじめ、特にクルマ好き視点だと魅力あふれるCX-60だが、疑問や懸念もいくつかあり、挙げていくと

1:CX-5との関係

 CX-5とCX-60の価格を各々2.5Lガソリン、2.2L直4ディーゼルターボと3.3L直6ディーゼルターボLパッケージの2WD同士で見ると、

2.5Lガソリン……CX-5/320万1000円 CX-60/341万5000円
2.2Lディーゼルターボ……CX-5/352万 CX-60/400万4000円

 と、CX-60は車格や多くの部分が新開発かつ、ディーゼルターボは6気筒なのを踏まえてCX-5を基準に考えたら、CX-60は2.5Lガソリン、2.2Lディーゼルターボともにあと50万円高くても妥当な価格だろう。

 つまり、ここまで書いたようにCX-60は激安なだけでなく、CX-60を基準にしたら「CX-5が高い」という見方もできる。

 CX-60はCX-5の後継車的な部分もあるようだが、しばらくはCX-5も継続されるようだ。

 そうなるとCX-5はCX-60の激安価格もあり、今後CX-5はLパッケージのような豪華グレードはなくし、お買い得なスマートエディション(2.2Lディーゼルターボの2WDで299万7500円)、フィールドジャーニーやスポーツアピリアンスといった特別仕様車に装備内容や価格を見直したうえでグレードを整理し、「質実剛健でリーズナブルなミドルSUV」として売っていくのだろうか。

 また、先々単純にCX-5を絶版にするというのも、CX-30とCX-60の車格が開きすぎるなどの懸念もある。

 と考えると、マツダは北米でFFのスモールアーキテクチャーを使ったCX-50というSUVが人気となっているのもあり、CX-5の直接的な後継車として北米のCX-50を日本サイズにしたミドルSUVをCX-40かCX-50の車名で日本に導入するのかもしれない。

2:マツダとして収益は大丈夫なのか?

CX-60に採用されたトルクコンバーターレスの8速AT
CX-60に採用されたトルクコンバーターレスの8速AT

 CX-60は新開発のFRプラットフォームの採用、トルクコンバーターを使わない8速ATや3.3L直6ディーゼルターボの搭載と、見るからに開発費や原価が高そうなモデルである。

 さらに、3.3L直6ディーゼルターボも特に欧州のEVシフトや法規対応といったディーゼルに対する向かい風もあり、商品として「いつまで売れるのか、使えるのか?」という懸念も浮かぶ。

 さらにそのわりには価格は激安と、収益をはじめとしたビジネス面に不安も感じる。

 まず、3.3L直6ディーゼルターボ以外のビジネス面に関しては「CX-60はCX-5に対し、生産の際の工数が20%減っている」というニュースがあったように、「意外に開発費や原価が高くない」という何らかの秘密があるのかもしれない。

 また、マツダのラージ系のモデルはすでに公表されているCX-60の3列シート版となるCX-80(CX-8の後継車的存在?)、CX-60とCX-80のボディサイズをより拡大した北米向けのCX-70とCX-90、未知数ながら現行マツダ6の後継車となるセダンやステーションワゴン(仮称マツダ60)? といったラージ系の展開による収益の確保も想定されているのだろう。

 さらに、CX-60をはじめ価格自体も「様子を見ながら年々わずかずつ上げていく」という作戦なども考えられる。

 3.3L直6ディーゼルターボの商品としての寿命に関しては、「マツダの3.3L直6ディーゼルターボは排気量のわりに出力をはじめとした絶対的なスペックが低い」ということが、長い商品的な寿命につながるかもしれない。

 というのも今後欧州ではじまる「ユーロ7」と呼ばれる排ガス規制は非常に厳しく、ユーロ7が始まった時点で欧州メーカーは「ディーゼルを諦めるのでは」と言われている。

 しかし、もしマツダの3.3L直6ディーゼルターボがマイルドハイブリッドによる燃費向上も含め、ユーロ7をクリアできる環境性能を備えているのであれば、ディーゼル車がなくなるなかでも欧州で販売可能となり、生き残れればいろいろな意味での好循環や展開が生まれ、ペイできるという計画なのかもしれない。

3:日本では1890mmという全幅が問題にならなければいいが……

 CX-60、特に純ディーゼル車は価格を含め魅力あるスペック、高い商品力を持つだけに、実は筆者もかなり気になっている。しかし、CX-60には筆者の使用環境ではひとつだけクリアできないネックがある。それが1890mmという全幅だ。

 というのも筆者は全幅1850mm以内というパレット式駐車場にクルマを止めており、「全幅1890mmのCX-60はアウトだから」という単純な話だ。

 この点は前述した輸入車のミドルSUVも同じだが、CX-60は価格が激安なので関心のあるユーザーも多くいそうなのに加え、首都圏では筆者のような駐車環境のユーザーも少なくないのを考えると、「1890mmという全幅がCX-60を候補にしても買わない、買えない理由」にならないかちょっと心配だ。

次ページは : ■まとめ

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