車速80km/h、車間4mのトラック隊列走行で、燃費が15%向上
一般走行でも、スリップストリームを実現できれば、省エネ走行によって燃費低減が期待できるはず。どのような条件で、どの程度の効果が見込まれるのでしょうか。
NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の大型トラック走行試験で、車速80km/h、車間距離4mの自動隊列走行において、燃費は15%向上するという結果が得られています。トラックは、決められたコースを走行することが多いので自動運転が活用しやすいのです。
また参考ですが、直進路を車速90km/hで走行する大型トラックをコンパクトカーで追走する試験で、車両間隔3mで39%、6mで27%、15mで20%、30mで11%の燃費向上が得られたという報告があります。リアルワールドでは、一定速度で直進するということはないので、実際にはこれだけの好結果はまず出ないはずですが、NEDOの結果を参考にすると、(条件によって異なりますが)トラックを追走する乗用車なら、車速80km/h以上で車間距離10m以下をキープすれば、10%程度の燃費向上が期待できるかもしれません。
高速道路の100km/h~120km/hなら、もう少し効果が大きい可能性もあります。一方で、前走車が一般的な乗用車だともっと接近しないと、効果は出せないはず。ただ、いずれにせよ車間距離10m以下というのは、安全性を考えると現実的ではありませんね。
自動運転ならできるかも
道路交通法では、適切な車間距離で走行することが規定されており、守らなければ車間距離保持義務違反になります。車間距離保持義務違反とされれば、一般道だと(普通車で)反則金6000円、違反点数1点、高速道路だと反則金9000円、違反点数2点。近頃だと「あおり運転だ」と判断されるかもしれませんし、なにより車間距離不保持は大変危険な行為なので、くれぐれも一般道では実施しないようお願いいたします。
また、高速走行では絶対にブレーキが間に合わないので、危険で現実的ではありません。特に、トラックの追走は前方の見通しが利かないので絶対にやってはいけません。
一般走行で利用が困難なスリップストリームを生かせるとしたら、車-車間通信技術を活用した自動運転でしょうか。トラックの隊列走行のように、安全が担保されたうえで、車間を詰めた自動運転ができれば、効果を発揮することが可能です。毎夜、荷物を輸送してくれる輸送トラックにとっては非常に有益ですが、「運転を楽しむ」というクルマの本質を求める方にとっては、ちょっとつまらない世界になってしまいますね。
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自動車レースなどで当然のように使われているスリップストリーム。理屈上は一般路の高速走行でも効果を発揮して、燃費低減に活用することは可能ですが、効果が出せるのは車間距離10m以下の危険で非現実的な条件なので、実際には利用はできません。間違っても、挑戦しないようにしてください。
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