エルヴィス・プレスリーといえば、ロックの偉大なアイコンとして知らぬもののいない存在だ。ゴージャスなルックスに魅力的な歌声は、いまだに色褪せていない。
2018年に偉大なクィーンの伝記映画が大ヒットしたが、今度はプレスリーの生涯が映画化された。
私生活ではクルマとバイクを愛した彼を描く映画『エルヴィス』をご紹介しよう!
文/渡辺麻紀、写真/ワーナー・ブラザース映画
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■ロックンロールの原点にして頂点
フレディ・マーキュリー&クィーンを描いた『ボヘミアン・ラプソディ』(2018)が大成功を収めたからか、ハリウッドではちょっとしたミュージシャン伝記映画がブームになっている。
マイケル・ジャクソンやマドンナ、ホイットニー・ヒューストンたちの映画が企画されているなか、いち早く公開されるのがエルヴィス・プレスリーを描いたその名もズバリの『エルヴィス』。
『ハートブレイク・ホテル』や『監獄ロック』、『ハウンド・ドッグ』に『ラブ・ミー・テンダー』等の大ヒットによって「世界史上もっとも売れたソロアーティスト」の一位にランキングされ、ロックンロールの神様とも呼ばれる彼の波乱に富んだ人生にスポットを当てた音楽伝記映画だ。
メガホンを取ったのは『ロミオ+ジュリエット』(1996)や、『ムーラン・ルージュ』(2001)等のミュージカルでも知られるバズ・ラーマン。プレスリーを演じているのは、これが初のメジャー映画主演作となる『デッド・ドント・ダイ』(2019)等のオースティン・バトラー。
このバトラー、素顔はいまどきのハンサムだが、メイク等に頼ることなく、声も表情もダンスもちゃんと“エルヴィス”しているから驚かされる。
映画はプレスリーがブレイクした1950年代から亡くなる1970年代までを駆け抜ける。上映時間は2時間39分にも及ぶのだが、彼の音楽とステージがふんだんに散りばめられ、目にも耳にも刺激的で退屈する暇がない。
ストーリーも、エルヴィスの人気を決定づけたという腰を激しく振って歌うスタイルの生まれたきっかけや、それを裏付けるような社会や政治に対する反骨精神を浮き彫りにして、彼の人生観のみならず、当時のアメリカ社会の思想や価値観をも伝え、単なる音楽映画の枠を超えたアメリカの近代史的な面白さもある。
その一方で、家族や関係者の呪縛からは抜け出すことが出来なかった痛々しい私生活も描かれ、まさに「波乱に富んだ人生」が繰り広げられるのだ。
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