カーボンニュートラルの取り組みの中で、各メーカーが次々と新型EVを発売している。日産はリーフで実績を築き、サクラ、アリアとタイプの異なるEVを展開する。トヨタはスバルと共同でbZ4X、ソルテラをリリース。そして三菱もeKクロスEVをリリースした。
そんな中ホンダはホンダeに続く実用EVの発売が待たれているが、2022年4月12日今後のバッテリーEV戦略を発表した。その詳細とホンダEVの今後の展開と新型EVへの要望をホンダeオーナーの片岡英明氏に語ってもらった!
文/片岡英明、写真/HONDA、ベストカー編集部
■自動車界の電化を見据えたホンダの狙い
ホンダの三部敏宏社長は、2022年4月12日にこれから先のバッテリーEV戦略について発表した。ご存じのように、ホンダ初の量産バッテリーEVは2020年8月に発表(発売は10月)したホンダeである。
シティユースを狙った街中ベストのEVで、搭載するバッテリー容量を35.5kWhと割り切った。これはライフサイクルでのCO2(二酸化炭素)削減も考慮したからだ。筆者も愛らしいルックスに加え、この考え方に共感したから愛車にした。
だが、ホンダeを発売したのは、強化されたヨーロッパのCAFE規制(企業間平均燃費)でペナルティを食らわないためである。CAFE規制は、メーカー別に平均燃費(つまりCO2排出量)を算出し、これに年間の販売台数などを加味して一定の基準を設け、これを超えてしまうとメーカーに罰金を課すものだ。
日本やアメリカにもCAFE規制はあるが、ヨーロッパほど厳格ではない。ホンダはハイブリッド車や燃料電池車などの技術レベルが高いから平均燃費は悪くないし、EV専用メーカーのテスラからCO2排出枠を買い取ることも考えている。
ホンダeはヨーロッパのCAFE規制を見据えて送り出したバッテリーEVだから、燃費に余裕のある日本じゃ本気で売る気がない。その証拠に販売価格はヨーロッパより高く設定しているし、年間の予定台数も1000台だ。
だが、遅かれ早かれバッテリーEVが主役の座に就くことは間違いない。ディーゼルゲートによって政策転換を余儀なくされたヨーロッパは、EVに命運を託すしか生き残る道はなくなってしまったのである。
世界各国がヨーロッパ勢の論調に賛同し、ハイブリッド車を含むエンジン搭載車の販売禁止案を打ち出してきた。多くの先進国がゼロエミッションのEVを優遇する戦略を取るようになり、2030年までに内燃機関の販売を禁止するとまで言い出したのだ。
ヨーロッパのメーカーは一気にEVを増やし、ボルボなどは2030年までにEV専門メーカーに変身すると宣言した。
脱炭素社会を目指す自動車メーカーは、EVへのシフトを鮮明に打ち出している。時代に先んじてハイブリッド車を発売し、電動化を積極的に推進してきたトヨタは、バッテリーEVや燃料電池車を含めたマルチソリューション戦略を推し進めると語ってきた。
が、この発言がマスコミから「EVに否定的だ」だと批判されたので、2021年12月に記者会見を開き、2030年までに30車種のEVを投入すると発表している。EVと燃料電池車を合わせた販売台数も350万台へと引き上げた。
ホンダもトヨタの大胆な記者会見に刺激を受けたのだろう。三部敏宏社長は2030年までにグローバルで30車種のバッテリーEVを展開し、年間生産は200万台以上を目指すと述べている。2020年代の後半までは主要地域ごとの市場特性に合わせた商品の投入を掲げ、高効率な開発を行うことも発表した。
日本に特化したEVとして期待されているのが、100万円台で買える商用EVだ。行動範囲が決まっているならバッテリー容量はそこそこでいい。
EVはパワーとトルクが瞬時に立ち上がり、滑らかだから荷物をたくさん積んでも軽快な走りを見せる。2024年に日本市場に投入する計画だというが、デビューが楽しみだ。
また、軽自動車サイズのEVを出す可能性も否定できない。商用車と同じように、病院の通院やスーパーへの買い出しならバッテリーもそれなりで済む。軽自動車より小さいEVシティコミューターも、ホンダがやれば面白いものになるだろう。
逆にEVスポーツカーも考えられる。ポルシェのタイカンを凌ぐ、バカっ速いスポーツカーもEVなら生み出しやすい。
2022年6月、ホンダの中国における生産/販売合弁会社の広汽本田汽車有限公司が、EVの新工場を建設するというニュースも報じられている。ホンダは2030年以降、中国で売る4輪車はすべてハイブリッド車やEVなどの電動車とし、EVブランドの「e:N」シリーズを立ち上げた。
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