【年間事故じつに70件超!】 なぜ?? 自動ブレーキが作動せず事故の代表例 6選

■松田秀士が自らの実体験から説く 自動ブレーキでも事故は起きる!

(TEXT/松田秀士)

 4月のある日、高速道路で追突事故に遭ってしまい治療中です。いわゆるむち打ち。まぁそれはいいとして、状況を説明したい。車両は、写真でご覧のとおりBMW X1。1.5L 3気筒モデルです。

 私は3車線の一番右側の追い越し車線で、オートクルーズコントロールをONにして、クルマの流れに沿うために110km/hにセット。なおかつエコモードで走行していました。

 前方で渋滞が発生し、オートクルーズコントロールは減速を開始。しかし前方でかなり急に停車したのでメーターパネルにアラートが表示され、一層ブレーキが強くなったので、自分でブレーキペダルを強く踏んで減速。充分に停止できると判断したので一度緩め、後続車の状況をバックミラーで確認しました。

 私の後続車はレクサスで、ISかGSか? ちょっとそのへんの判別がつきかねましたが、そのクルマは私と充分な車間距離をとっていてくれたものの、まったく減速する様子がなかったのです。ポンピングブレーキを3度行い注意喚起したのですが、私の背後まで迫った時「これは危ない」と思い、左側(中央車線)に車両がいなかったので、前方で停車したクルマの直前で左側に進路を変えレクサスの追突から逃げました。

 その直後、私の後ろにいたレクサスは前方に停車していたクルマに激しく追突! 助かった! と思った瞬間、今度はそのレクサスのさらに後ろにいたレガシィが私の右後部に追突してきました。ものすごい衝撃で、約20m近く前方にX1は飛ばされました。レガシィはレクサスを避けて、私と同じく車線変更したものと思われます。

大きくリアが損傷したBMW X1。追突したレガシィは、左フロントが大きく破損。急回避をしたが、人も機械も前方にクルマがいると認識した時には、すでに手遅れだったのだろう

 この時、私の足は両足ともシートの調整用レールに当たるほど。つまり追突されるとペダルから足が離れてしまう、ということを初めて実体験したのです。

 さてこれまでの話で何が言いたいかというと、自動ブレーキはまだまだ信用できないということ。レクサスに装備がされていたかどうか? はわからないが、レガシィにはアイサイトがありました(バージョン2を搭載)。

 つまり、道路上での追突事故にはさまざまなシチュエーションがあり、イレギュラーなシーンでは必ず自動で減速を行ってくれるとは言えません。今回の事故もかなりの衝撃だったことを考えれば、自動ブレーキが作動していなかった可能性はあります。

 最近のクルマを知らないマスコミによる自動運転ブームで、付いているだけで絶対に安全と一般ドライバーが解釈するトレンドに不安を再認識させられる今回の事故でした。

 しかしX1は頑丈だった! 病院から出て、もう一度ステアリングを握り、自走して帰宅することができました。皆さん、高速走行はくれぐれも気をつけましょう!

■半自動運転を謳っていてもダメ 自動ブレーキを過信するな!

(TEXT/国沢光宏)

「自動ブレーキが100%作動する保証はない」なんて当たり前のことである。筑波サーキットのラップタイムや、JC08モード燃費とまったく同じこと。そもそも舗装路とジャリ道、雪道じゃブレーキの効きがまったく違う。いつも走っている舗装路ですら、雨量によりまったく状況変わってくるのだった。そもそも自動ブレーキというシステム自体、自動運転と狙いも効能も異なる。

 自動運転はシステムが100%安全を確保しなければならないため、機械のミス=事故になってしまう。けれど自動ブレーキの場合「運転補助」。あくまでドライバーのサポートなのだった。ABSや横滑り防止装置、トラクションコントロールの仲間です。60km/hで曲がれるコーナーに100km/hで進入したら、横滑り防止装置はカバーできないのと同じ。すなわちドライバーの「うっかりミス」をサポートしてくれるシステムなのである。

半自動運転であっても、100%はない。現在はすべてのクルマで、あくまで補助と考えるべきだ

 けれど、自動車メーカーのなかには理想的なコンディションであっても20km/h以上になったら追突するような簡易式のシステムを「自動ブレーキで安心!」とアピールするところもあるから、軽自動車に軽油を入れちゃうような人たちは条件付きで止まれる装置であることを認識してない。

 さらに酷いのがテスラのように「半自動運転」というワケワカラン宣伝をするメーカーである。実際、高速道路などではボタン押すだけでハンドルもアクセルもブレーキも、けっこう上手に操作してくれ、快適だ。けれど100%確実というレベルに達しておらず、ミスしたら即時にドライバーがカバーしなければならない。高速走行中だと、瞬時に対応したって間に合わないです。

 そもそも国交省が自動ブレーキの性能表記を義務づけないことからしてデタラメだと思う。安全に関する重要な案件なのに、カタログ見たってまったくわからない。こうやって書くと「JNCAPの数字などが出ているでしょ」と突っ込む原理主義者もいるだろうけれど、国交省は基準を定めていないため、数字がどういった意味を持つのか専門家の私ですらサッパリわからないのが現状です。

次ページは : ■国沢光宏が伝授する自動ブレーキ車の心得3カ条

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

S-FR開発プロジェクトが再始動! 土屋圭市さんがトヨタのネオクラを乗りつくす! GWのお得情報満載【ベストカー5月26日号】

S-FR開発プロジェクトが再始動! 土屋圭市さんがトヨタのネオクラを乗りつくす! GWのお得情報満載【ベストカー5月26日号】

不死鳥のごとく蘇る! トヨタS-FR開発計画は再開していた! ドリキンこそレジェンドの土屋圭市さんがトヨタのネオクラシックを一気試乗! GWをより楽しく過ごす情報も満載なベストカー5月26日号、堂々発売中!