とても魅力的なサクラやeKクロスEV!! それなのになぜ国産EVは売れないのか?

■EUの動きもまだまだ流動的

 しかし、この報道が出る少し前には、“内燃機関車の全面販売禁止を5年延長(つまり2040年まで)”するとの報道が飛び交っていた。さらに、環境に優しいとされる合成燃料“e燃料”の活用で内燃機関の延命をはかりたいといったドイツの報道もあった。

 この報道では“ハード(車両)の電動化は進んできているが、EU域内の充電施設が足りない”ともしていた。世界のなかでとりわけ、車両電動化に熱心である欧州でも充電施設が十分設置されていない。

 しかも、ロシアのウクライナ侵攻の影響もあり、EU加盟国のなかには石炭による火力発電量を増やす傾向が目立っているとのこと。

 仮に近々にEUで2035年までに内燃機関車販売を全面的に禁止する法律が成立しても、2035年まではまだ13年ほどあるので実現性そのものや実現の延長などは十分考えられることだろう。

 世界から見れば“掛け声”だけで、カーボンニュートラルに本気で取り組んでいるのか懐疑的に見られているのが日本。

 今回の電力供給のひっ迫についても、日本各地で酷暑が続いた6月下旬にドイツでG7(主要7か国首脳会議)がドイツで開催されており、一部では“カーボンニュートラルに取り組むなか、火力発電量を抑えているとアピールするためのパフォーマンスだったのではないか(ひっ迫はしていなかったということ)”などといわれる始末となっている。

 “エアコンつけていいけど節電してね”という不思議なお願いをしたり、“2000円あげるから節電に協力しろ”と国民に対しあくまでマウント姿勢を貫く日本政府。

 いまの状況(電力供給がひっ迫するなかでも、太陽光や風力などによる発電ではなく化石燃料による発電への依存が減らない)で「BEVにどんどん乗ってほしいけど節電してね」と言い出しそうな気配すら感じるが、そう言われた消費者は困惑するだけである。

 政府は理解を示さずになんでも民間に丸投げしているようにも見えるが、国のエネルギー供給については重要な政策課題と考える。しかも世界第三位の経済大国でそれまで化石燃料で動いていたクルマをすべて電気で動くようにするというのは、民間の努力だけでできるわけがない。

 しかし政府内にそのかじ取りをする人は皆無に見える。

  中国のような強い指導力を発揮することができず、国民に“お願い”することしかできないのなら、せめて国民が納得できる、新しい時代のエネルギー供給政策の策定が必要だ。そうしない限りは、日本国内のBEV普及に対して、その普及を願う政府自らが、いつまでもブレーキをかけ続けることになってしまうだろう。

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