あぁ、うらやましい!! トヨタ元営業マンから見た日産サクラとeKクロスEV登場の衝撃

トヨタ営業マンから見た日産サクラ

 日産と三菱が、軽自動車のバッテリーEV(以下、本文内BEVと表記)を投入してきた。5月20日に発表され、大きな話題を呼んだ日産・サクラと三菱・eKクロスEVは、注文開始から約3週間で、eKクロスEVは約3400台、サクラは約1万1000台を受注している。

 サクラとeKクロスEVは、日産・三菱のシナジーが発揮され、作り上げた1台だと思う。両社が電気・軽自動車のどちらにも真面目に取り組んできたからこそ生まれたクルマだ。こうした戦略に、元トヨタ販売店営業マンの筆者はうらやましさを感じる。現役であっても、この気持ちは変わらないと思う。

 本稿では元トヨタ営業マンから見た、サクラ・eKクロスEVの衝撃をお伝えするとともに、もし軽EVをトヨタが販売したとしたらどうなるのか、考えていきたい。

文/佐々木亘、写真/NISSAN、池之平昌信、佐藤正勝

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国民車である軽自動車が電気自動車になった衝撃

日本のEV普及を進めるきっかけとして期待される軽EVの日産サクラ

 今や国内シェアの約40%をもつ軽自動車。人気のSUVもミニバンも、軽自動車の勢いには勝てないのだ。

 一種の国民車ともいえる軽自動車の存在は大きく、それがBEVとして登場することで、国内のBEV普及に大きな後押しとなることは間違いない。これまではガソリンエンジンをベースにした、ハイブリッド(HEV)やプラグインハイブリッド(PHEV)が攻勢を強めてきたが、今後、軽BEVがさらに増えてくれば、ガソリン車の影はどんどんと薄くなり、街乗りされるクルマの多くが、BEVになる可能性も秘めていると思う。

 こうした変革の第一歩を踏み出すには充分すぎるインパクト、そして完成度を持ったサクラとeKクロスEVは、今後さらに存在感を大きくしながら、国内のEV車市場を席捲していくはずだ。

軽自動車のネガが消えた? 電気自動車の驚くべきマジック

 軽自動車は一昔前よりも、かなり大きくなり重くなった。

 平成10年10月に新規格軽自動車の販売がスタートし、現在の全長3400mm×全幅1480mm×全高2000mm以下にボディを収めるようになったが、エンジン排気量は平成2年から変わっておらず、現在も660㏄以下となっている。

 軽ハイトワゴンが人気となり、全長全幅は規格一杯、全高は限りなく2mに近づくクルマが多くなった。さらに利便性を求めてスライドドアなども装備されるようになっており、軽自動車は年々重くなっていったのだ。

 クルマを引っ張るエンジンの力は変わらずに、クルマ自体の重量は増すばかり。故に動力性能(特に加速性能)は厳しくなり、便利だけど小気味よくは走れないという、ネガティブなイメージが一部では先行していた。

 こうしたネガを、BEV軽自動車は払拭してくれている。

 実際にサクラへ乗りこみ、アクセルを踏み込んでいくと、継ぎ目のない力強い加速が、軽自動車の常識をいい意味で覆してくれるのだ。モーターによる初動トルクの強さは、軽自動車のもさっとした乗り味を感じさせず、小型スポーツモデルのような小気味よさまで感じられるほどになった。

 軽自動車に搭載されるエンジンは660㏄で3気筒のモノが多い。走り出してしまえばいいが、アイドリング時や高回転域での振動や大きなエンジン音は、お世辞にも心地いいとはいえないだろう。

 こうした面でもBEVが良い味を出している。ピストン運動をするエンジンと違い、モーターは制振性能が非常に高いため、車内で気になる振動は感じられない。モーター特有の音こそあるものの、エンジン車で聞こえてくるような、耳障りに「頑張っています」を伝えてくるものとは雲泥の差だ。

 筆者も何台かのBEVに乗った経験がある。そのなかでも、クルマの素性とBEVがこれほどマッチングしたカテゴリーは、今までなかったと思う。

 バッテリー容量が小さく、航続可能距離に不安はあるが、自宅に充電設備があり毎晩充電をしておける環境が整っているのなら、街乗りはこれで充分だ。市街地走行だけを考えれば、これ以上に使い勝手が良く快適なクルマはないだろう。

 なぜ、こうしたクルマが今までなかったのか疑問になるくらい、圧倒的に質が高く、納得感のある軽BEV。1度乗ればとりこになり、2度目にはなじんでしまう。新しい時代のクルマとはこういうものなのだなと、感心させられてしまった。

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