GRカローラも登場間近!! 脱スポーツカー時代の希望の星? 「GR」の独自性と今後の期待値

GRはクルマ好きから愛されるブランドとしての地位を持っているのか

「お客様を虜にするカローラを取り戻したい!」という豊田社長の強い思いで、開発が始まったGRカローラ。写真は豊田社長自らが試作車のハンドルを握り、強くこだわりを持つ野性味を追求した「モリゾウエディション」
「お客様を虜にするカローラを取り戻したい!」という豊田社長の強い思いで、開発が始まったGRカローラ。写真は豊田社長自らが試作車のハンドルを握り、強くこだわりを持つ野性味を追求した「モリゾウエディション」

 それぞれの背景に多少の違いはあっても、モータースポーツ活動を軸に誕生したブランドであるのに比べ、GRは、当初の中心人物であった故・成瀬が、トヨタのクルマをよくしたいとの思いからはじまったところに独自性がありそうだ。

 市販車をよくするための延長にモータースポーツがあり、今日では、スポーツカーとしての名称であったり、世界選手権などでのモータースポーツ活動であったりしている。そして故・成瀬の志を継承しようとする豊田社長の思いが強く働いていそうだ。

 したがって、その目線の先にあるのは、クルマ好きな消費者ではないか。たとえばGR86とBRZを乗り比べると、乗り味の違いが明確だ。GR86は誰もがスポーツカーと意識しやすい硬い乗り味や、運転操作に素早く応答する感覚を重視した狙いを感じる。GRヤリスは、世界ラリー選手権に参戦するヤリスの姿を容易に重ね合わせることができ、特別な存在であることが一目でわかる。

 幅広い消費者に身近に思わせるスポーツカーブランドをGRは目指しているのだろう。マスタードライバーである豊田社長の感性も活かされていると思うことができ、熱烈な支援者が誕生しているようだ。

 その豊田社長は、2021年12月に開かれたBEV戦略説明会で、記者の質問に答え「いままでのトヨタのBEV(バッテリーEV:燃料電池車と区別するための呼称)には興味がなかった」と、苦笑をまじえながら述べた。しかし続けて、「これからのBEVには興味がある」と付け加えている。

 ドイツのスポーツメーカーであるポルシェは、タイカンというEVを売り出した。プレミアムブランドを自認するアウディは、ダカールラリーにe-tronで参戦し、総合成績は9位であったが、区間タイムで最速を記録した。その姿を、2022年の覇者であるトヨタのチームは目撃しているだろう。

 欧米のクルマ好きは、エンジン車であろうがEVであろうが、乗って楽しめれば共通の仲間であり、あるいは俊足の腕前でなくても、たまにサーキットを走るといえば、会話が弾む。

 いっぽう、日本では、クルマ好きといえば、エンジンの仕様や馬力、あるいは変速機の段数やサスペンションの仕組みなどに詳しい愛好家を指すことが多い。そしてEVは、単なるモーターとバッテリーの組み合わせで、排気音もなくつまらないものと排除しかねない言葉を耳にすることがある。サーキット走行の話になれば、何秒で周回できたかで腕前がはかられ、単にサーキット走行を楽しむだけでは素人と見下す空気を感じることもある。

 豊田社長はマスタードライバーであるのだから、EVという新しい挑戦に自ら「面白いEVの走りはこれだ」と示せばいいのではないだろうか。そうした潜在能力を掘り出してこそ、単なる評価ドライバーではなく、マスターの称号を与えられるのだろう。故・成瀬も、クルマとは、という理想的な全体像を描いていたのではないか。

 現在、GRはGR/GRスポーツ/GRMNとして9車種を揃え、軽自動車からピックアップトラックやSUV(スポーツ多目的車)も含まれる。そこにGRbZ4Xが加わるなら、動力や仕様を問わず、GRが存在することでクルマの未来は明るいものと思えるのではないか。

 EVは、エンジンの1/100ともいわれる応答に優れたモーターと、床下にバッテリーを車載することによる低重心、そして前後重量配分を均等に近づけられるという、根本的な潜在能力がある。マスタードライバーの豊田社長に、ぜひその本質的魅力を引き出していただきたいものだ。

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