トヨタ、日産、スバルの上級スポーツのカタログモデルとして設定されている「GRスポーツ」「NISMO」「STIスポーツ」グレード。メーカーによるチューニングや特別な装備によっていずれも価格はお高めな設定ではあるが、そのチューニングはお値段以上の価値ありなのか?
GRスポーツの4モデル、NISMOの2モデル、STIスポーツの2モデルのお薦め度を国沢光宏氏がズバッと斬る!
文/国沢光宏
写真/ベストカー編集部、トヨタ
初出:『ベストカー』2022年6月26日号
■トヨタ「GRスポーツ」4モデルはお値段以上か?
●ランドクルーザー GRスポーツ(価格770万円~)
ランドクルーザーのGRスポーツは、エンジンが違うとか、機能的に違うモノを採用しているなど強烈なアイテムを持たせているワケじゃない。エクステリア&インテリアの小変更や、サスペンションのファインチューンといった、メーカーオリジナルのスポーティグレードといった内容。
こいつをどう評価するかは、スポーツグレードをどう考えるかと同じになります。
「欲しい」というのなら、同じような小変更を社外パーツを買って作るよりリーズナブルだし、数年後に手放す時の評価だって高い。リセールバリューを期待できるクルマのため、多少高いグレードを選んでもモトが取れるんじゃなかろうか。
ということでランドクルーザーのGRスポーツを考えているのなら、お値段相応だと思う。
・オススメ度:★★★☆☆
・GRスポーツ(3.5Lターボ):770万円(「ZX」グレードの40万円高)
【主な専用装備】●専用フロントグリル ●専用バンパー(前後) ●専用ホイールアーチモール ●265/65R18タイヤ&アルミホイール(マットグレー) ●専用チューニングサスペンション ●電子デフロック ●GRエンブレム付き本革シート ●専用ブラックインテリア
●コペンGRスポーツ(価格238万2200円~)
コペンGRスポーツで一番驚いたのは、ボディ下面の形状を変えていること。
ダイハツというメーカー、トヨタほどの安全意識を持っていないのか、コペンの床下はクロスメンバーが飛び出している。そのため大きい段差を通過しようとしたコペンのエアバッグが低速で誤爆したケースもあります。その後もコペンはそのまんま。
コペンGRはどうするのかと思って床下をチェックしたら、クロスメンバーが段差に当たっても大丈夫なようになってましたね。クルマは命を預けるもの。この一点だけでコペンGRはお値段以上だと思う。
そのほか、後付けだと車検やリセールバリューで少しばかり面倒なレカロのシートやスポーツサスペンションなども付いており、魅力的なクルマになってます。
・オススメ度:★★★☆☆
・GRスポーツ(5MT):243万7200円(「ローブ」グレードの52万6500円高)
【主な専用装備】●専用フロントグリル ●専用バンパー(前後) ●BBS製専用16インチアルミホイール ●専用チューニングショックアブソーバー ●専用ブレース(剛性アップパーツ) ●専用床下スパッツ ●専用レカロシート ●MOMO製専用革巻きステアリング
●C-HR GRスポーツ(価格278万2000円~)
発売当初は販売台数上位に食い込むほどの人気車だったC-HRながら、マイナーチェンジしてから残念な販売状況になってしまった。売れなくなった最大の要因は、素晴らしい乗り心地とハンドリングを両立させていたザックスのダンパーを、コストダウンのため他社製に変えたこと。
日本のユーザーって慧眼。日産 デュアリスもマイナーチェンジで日本製のダンパーとシートに変更した途端、ガッツリ売れゆきを落とした。
GRスポーツに初期のC-HRの魅力が出ているかとなれば、なかなか厳しいように思う。普通のC-HRを買って足回り交換したほうが安価だしいいクルマになるかと。GRスポーツがザックスあたりを使ってくれたら違う評価になっていたかもしれません。
・オススメ度:★★☆☆☆
・S”GRスポーツ”:314万5000円(「S」グレードの40万円高)
【主な専用装備】●専用フロントグリル ●専用フロントバンパー ●225/45R19タイヤ&専用アルミホイール ●専用チューニングサスペンション ●専用本革巻きステアリング ●専用デザインメーター ●専用スポーティシート ●専用ブラックインテリア
●プリウスPHV GRスポーツ(価格384万2000円~)
GRスポーツのなかでもプリウスPHVはなかなか気合い入っている。パワーユニットの変更こそないものの、エクステリアは前後のバンパーからグリル、サイドステップまでオリジナルとなり、見た瞬間「プリウスPHVよりイケてますね」と思うことだろう。
インテリアも”クルマいじりの王道”であるハンドルとシートはキチンと交換されており、普通のプリウスPHVから乗り換えたら「おおっ!」になると思う。サスペンションもローダウンしてシャープな乗り味にしている。
これだけ多くのアイテムに手を加えたら、社外品でドレスアップしたらこの金額じゃ収まらないと思う。魅力を感じたならお値段以上です。
・オススメ度:★★★☆☆
・S“GRスポーツ” :384万2000円(「S」グレードの45万9000円高)
【主な専用装備】●専用アッパーグリル ●専用バンパー(前後) ●225/40R18タイヤ&アルミホイール ●専用チューニングサスペンション ●専用剛性アップパーツ&空力パーツ ●専用スポーティシート ●専用本革巻きステアリング ●4灯式LEDヘッドランプ
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