若年層や一般の人が過去の名車を知る大きな機会が、漫画やアニメへのそのクルマの登場である。
漫画やアニメに過去の名車が登場すると、そのクルマの中古車価格が急上昇することもあるくらいで、ここではそんなクルマたちをピックアップしてみた。
文/永田恵一
写真/HONDA、MAZDA、NISSAN、RENAULT
■『頭文字D』トヨタ スプリンタートレノ(AE86)
元ラリードライバーで豆腐屋を営む父・藤原文太の英才教育を受けた主人公・藤原拓海は、トヨタ スプリンタートレノ(AE86)で群馬県内の有力な走り屋と峠でのバトルを繰り広げ、やがて県外にも遠征していく。
なお頭文字D後の近未来にスーパーカーによる公道レースを描く、頭文字Dの作者でもあるしげの秀一氏の作品『MFゴースト』において拓海のその後が触れられている。
それによると拓海は英国でラリードライバーになり、WRCフル参戦が決まっていたが、テスト中の事故による重傷でドライバー生命は絶たれてしまった。その後、英国のレーシングスクールの講師を務め、MFゴーストの主人公カナタ・リヴィントンを育てた。
拓海が乗る前期型の白黒ツートンというAE86スプリンタートレノは当初峠仕様のライトチューンだった。しかし、バトル中のエンジンブローを期にエンジンをグループAレース用のものにスワップし、ロールケージが付くなどのチューニングが進められた。
カローラファミリー最後のFR車となった80系カローラレビン&スプリンタートレノは、頭文字Dの連載が始まった1995年当時それほど目立つ存在ではなかった。さらに80系カローラレビン&スプリンタートレノで人気だったのはレビンだったため、トレノはどちらかというと不人気だった。
それが頭文字Dの影響でトレノが注目されはじめ、今やAE86の中古車は200万円からと、頭文字Dの連載が終わってもその人気はまったく衰えていない。
■『名探偵コナン』マツダ RX-7(FD3S型)
高校生探偵 工藤新一は遊園地で怪しげな取引現場を目撃したことで、毒薬を飲まされ子供の体になってしまった。新一は自分や周りの危険を考え江戸川コナンを名乗るようになり、自分の体を取り返すため、事件を解き明かす日々を送っている。
マニアックなクルマを愛車とするキャラクターが多数登場する名探偵コナンで、目立つのは安室透刑事が乗るマツダ RX-7(FD3S型)だ。
1991年登場のFD3S型RX-7は、当時の日産 スカイラインGT-Rやホンダ NSXといった日本車最速軍団をターゲットとしたスポーツカーである。
搭載される2ローターターボエンジンは初期モデルで255psにパワーアップされたものの、出力自体はスカイラインGT-RやNSXに及ばないこともあり、徹底的な軽量化とシャープなハンドリングにより日本車最速の1台となる速さを実現。
FD3S型RX-7は零戦(日本の戦闘機)のようなキャラクターを持っていた。
また、FD3S型RX-7は2002年に生産を終了するまでに改良も頻繁に行われ、1型から6型まである点も特徴だ。
安室が乗る白いFD3S型RX-7はフロントバンパーが4型までのもの、テールランプは4型以降、リアスポイラーは角度調整式なので5型以降という、ベース車がよくわからない仕様だ。
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