今年も線状降水帯が続々発生か!? ディーラーに置いてあるクルマが雹被害に遭ったらどうなる?

■クルマが多い自動車ディーラーでは雹にどう対応するのか?

降雹があった場合、ディーラーでは顧客からの預かり車両を優先的に屋根のある場所に避難させ、次に納車待ちの新車、未登録の屋外展示車、試乗車や社用車の順で避難させる(georgeion88@AdobeStock)
降雹があった場合、ディーラーでは顧客からの預かり車両を優先的に屋根のある場所に避難させ、次に納車待ちの新車、未登録の屋外展示車、試乗車や社用車の順で避難させる(georgeion88@AdobeStock)

 筆者が現役営業マン時代に、一度だけ営業中に雹が降ってきたことがある。天気が変わり、氷の粒が落ちてきた時、まず初めに行うのは屋根のある場所にお客様からの預かり車両を入れることだ。次いで納車待ちの新車を避難させていく。

 ここまで終わったら、次は屋外展示車両を動かす。特にナンバープレートを付けていない未登録のクルマが優先だ。試乗車や社用車は、最後に動かすクルマである。

 お客様のクルマと、登録前のクルマを避難させるのが第一となる。これらのクルマが傷を負った場合、保険で対処ができないためだ。試乗車や社用車は登録がすみ、自動車保険がかかっているから、被害を受けても補償を受けることができる。

 個人のかけている保険(ノンフリート契約)とは違い、自動車ディーラーのように数十台のクルマをまとめて管理している場合には、保険契約がフリート契約となる。フリート契約では等級や事故あり係数という考え方がなくなり、総契約台数と前年の保険金支払い額によって、保険料が決まってくるのだ。

 修理が必要となった試乗車や社用車に関しては、自社工場で直し、保険を請求することもあるだろう。しかし、修理を行ったクルマは顧客に販売することが難しくなる。ディーラーのなかでは、展示車→試乗車(社用車)→中古車として販売という流れを作り、保有車の新陳代謝を行っているお店が大多数だ。

 修理をしてもしなくても、雹の大きな被害を受けたクルマは売り物にならない。そのため無理に直すこともせず、会社のなかで使う実験車のようにすることもあるし、そのままオークションへ売却したり、廃車したりするケースもある。

 個人が被害を受けた場合とは、大きく対応が異なることもあるが、大きな痛手を被るという点では、どちらも同じだ。

■雹被害からクルマを守るために

 ベストなのは頑丈な屋根付きの保管場所を見つけることだが、条件としてはかなり難しい。カーポートという手もあるが、大きな雹ではカーポート自体を破壊し、クルマに被害が及ぶケースもある。

 雹が降っている最中、外に出るのも危険が伴い、クルマを動かすというのも難しいから、まずは自動車保険という頼る先を作っておくことが重要だろう。

 エコノミー型でもいいので車両保険の契約は付けておいてほしい。地球環境の変化で、これまででは考えられないような気象変化が起きる可能性は、全国各地で高まっている。備えあれば憂いなし。今すぐ自分の保険証券を確認して、雹などの被害に対応できる準備をしておこう。

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