■アクションにプラスして笑いの要素もタップリ
もうひとつ、イギリス案件でいうと、ホブスのガレージに並ぶ高級車のなかに、やはりイギリス車のMGB等に交じってミニクーパーがある。小さなこの車にホブスが「この小型車はお前に合う」とイヤミを言うのだが、それに対してショーは「イタリアでの仕事で使った」と答える。
これは、ステイサムが『ミニミニ大作戦』(2003)(原題は『Italian Job』)に出演しミニクーパーに乗っていたからだ。
この作品、事件の始まりはイタリアで、ミニクーパーが走るのはフィラデルフィアではあるのだが。しかも、本作の監督はステイサムも出演していた『ワイルド・スピード ICE BREAK』(2017)のF.ゲーリー・グレイだ。
また、ブリクストンが所属する科学テロ組織の施設として使われているのはマクラーレン・テクノロジー・センター。
エキストラとして同社の社員も出演しているというから、まさにマクラーレンの全面的なバックアップがモノをいっている。エンドクレジットにも「Special Thanks」として、真っ先にマクラーレンの名前が記されているが、それも当然?
一方、ホブス役のジョンソンがカリフォルニアで乗っているのは、やっぱりというか当然というか、アメリカのフォードブロンコと、ハーレイダビットソンのソフテイル。
後半のハイライトの舞台となるハワイでホブスは、ピータービルドのセミトラック4台を、ぶっといチェーンで数珠つなぎにして、飛んでいる敵側のヘリとつなげるという、最近のシリーズらしい荒唐無稽のアクションを見せる。
本作の監督は『デッドプール2』(1018)を手掛けたスタントマン出身のデビッド・リーチ。そのせいか、デッドプールを演じていたライアン・レイノルズが、まんまデッドプールのような役でカメオ出演しているのも楽しい。
ちなみにこのリーチ最新作は、日本の新幹線が舞台になっている異色のアクションコメディ『ブレット・トレイン』(9月1日日本公開予定)。いずれこちらも紹介したい。
●解説
世界の脅威となる殺人ウィルスを狙う謎の科学テロ組織エディオン。MI6のハッティは、同組織の実働部隊のボス、ブリクストンに奪われる直前にウィルスを自らの体内に注入し逃走する。
英米の政府はハッティとウィルスを守るため、犬猿の仲の英国人ショーと、米国のホブスに協力させる。ハッティはショーの実の妹でもあった。
ドゥエイン・ジョンソンとジェイソン・ステイサムの共演は『ワイルド・スピードICE BREAK』(2017)でのふたりの相性のよさに製作側が注目したことで浮上したという。
ただし、それは秘密裏に進められていた。というのも、シリーズのプロデュースも手掛けるヴィン・ディーゼルとジョンソンの仲はすでに険悪で、『ICE BREAK』のジョンソン出演の複数のシーンを、ディーゼルがプロデューサーの権限でカットしたことで最悪となったという背景がある。
そういう諸事情もあって、ジョンソンはシリーズを退くほうを選び、このスピンオフを提案されてOKしたという。
本作は劇場でも大ヒットしワールドワイドでおよそ7憶5000万ドルを稼ぎ出した。続編の製作はすでにゴーサインが出ているが、ジョンソンは2作で打ち止めという声明を出している。とはいえ、その成績によって3作目も大いにありだろう。
また、本作は日本でDVD&BDがリリースされるとき、ホンモノのマクラーレン720S付きスペシャルセットが3組限定発売されて大きな話題となった。映画と同じ仕様の車がオマケ(?)のその税込みのお値段は3,580万円!
さすが『ワイスピ』らしい破天荒というか前代未聞のプロモーションだが、本当に売れたんでしょうか? 気になります!
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『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』
Blu-ray:2,075円(税込)/DVD:1,572円(税込)
発売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
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