■片岡英明が選出する日本車ゲームチェンジャーたち
1980年代の“衝撃カー”はFF方式に生まれ変わった5代目ファミリア(マツダ)だ。
3ドアHBを主役に据えたが、1500XGは電動サンルーフやラウンジシートを採用してライバルを驚かせた。また、4輪ストラットのSSサスペンションはコーナリング性能が高く、ハンドリングも軽快。
爆発的に売れ、トヨタと日産が悔しがってソックリさんを出してきた。その意味でも「ゲームチェンジャー」モデルといえる。
今につながるミニバンの先駆けで、マルチパーパスカーの流れを変えたのが1982年に日産が送り出したプレーリーだ。
大胆なフルオープンスライドドアを採用し、ライバルをア然とさせている。パッケージングも優秀で、3列目も快適だった。また、走りも乗用車ライクで気持ちよかった。
1990年秋に登場し、スーパースポーツカーの定義を変えてしまったのがNSX(ホンダ)だ。
軽量化を徹底するために総アルミボディを採用し、スポーツカーでありながらキャビンは広くて快適だし視界もいい。エアコンだってバッチリ効く。それまでは走るたびに汗をかき、運転では悪戦苦闘した。
だが、NSXは人間優先を貫き、高性能スポーツカーの価値観を大きく変えている。与えた影響は限りなく大きい。
●強い印象を与えたフィット
オデッセイ(ホンダ)は、多人数で乗れる商用車ベースだったワンボックスワゴンに引導を渡し、ドライバーズミニバンへと流れを変えた記念すべきマルチパーパスカーだ。
基本はアコードだから走りはいいし、快適性も高い。3ナンバー車としては異例の大ヒットを飛ばし、市民権を得ている。
2000年代のゲームチェンジャーの筆頭は、フィット(ホンダ)だ。パッケージングの革命児で、独創的なセンタータンクレイアウトを採用してコンパクトカーとは思えないほど広いキャビンと荷室スペースを実現した。
コンパクトカーの後席と荷室は狭い、という常識を破り、走りもなかなかいい。ヒット作となった。先駆けとなったのはシビックだったが、人々に強い印象を与えたのはフィットだ。
SUVではアウトドア派を魅了し、本格派の背面スペアタイヤは「ダサいかな」と感じさせたエクストレイル(日産)が光る存在と言えるだろう。
非日常のタフな走りを手軽に楽しめ、しかも快適なクロスオーバーSUV。個性的で主張の強いデザインも高く評価され、人気者に。SUVの新たな流れを作った一台と言える。
●セダン党も気になるミニバン
2010年代のエポックを画したのは、Lクラスミニバンの3代目アルファードと兄弟車のヴェルファイア(トヨタ)だ。
ミニバンの域を超えた高級感を積極的に盛り込み、フロントマスクにはメッキの加飾をこれでもかと盛り込んでいる。
押しが強くキャビンも特大の広さだから、ミニバンを嫌っていたセダン党からも羨望の眼差しで見られるようになった。ライバルを宗旨替えさせるほど強い影響力を与えている。
ホンダが手薄だった軽自動車に本気で取り組み、送り出したN-BOXもインフルエンサーとして讃えられる軽スーパーハイトワゴンだ。
モデル末期に近づいた2015年からベストセラーに輝き、新たなベンチマークとしてライバルから注目を集めた。快適なキャビンと上質な走りで、軽の“新価値”を構築したモデルだ。
コメント
コメントの使い方