今できる対策は注文を早くするだけなのか?
ユーザーができることは、クルマが必要になる(買い替えの時期が迫る)と思ったときには、すぐに注文を行うということに限る。そろそろ車検だからと、車検切れの半年前に代替検討を始めたのでは遅すぎるのだ。
販売店で話を聞くと、今や新車への代替提案は車検を行った直後からスタートするという。車検整備で預かったクルマを引き渡す際に、サービススタッフだけでなく、営業担当が同席し、次のクルマの検討をスタートするように促すというのだ。ユーザーからは「車検を通したばかりなのに」と思われるが、こうでもしないとスムーズな新車への取り換えはできないと、営業マンは口にする。
こうした販売店の苦労を解消するにも、ユーザーの不安を取り除くにも、まずは生産体制を安定させることが重要になる。クルマを作るメーカーには、大きな負荷が今もかかっているのは重々承知しているが、クルマを販売し使う現場も、既に耐え忍ぶには限界が来ているのだ。
ほとんどのメーカーが、ユーザーから注文を受けたあとにクルマを作り始める。しかし、この方法では、今後も納期が短縮することは期待できない。問題解決には時間がかかるだろう。
いっそのこと、この数年だけでも以前のような在庫車販売が出来るような生産体制に戻してみてはどうだろうか。「このクルマのこの色で、この仕様しかないんです」となっても、今のユーザーたちなら買っていくと思う。輸入車ディーラーや中古車ディーラーのような売り方を、各メーカーの新車販売でも導入できれば、新車不足は解消の方向へ向かうはずだ。
生産に余裕のあるラインでは、売れ筋のグレードと色で生産を続け、在庫車の充実を図ってみて欲しい。販売店の「売るクルマ(注文できるクルマ)がない」という状態も、これで改善の方向に向かうと筆者は考える。
新車納期が長期化しているという話題に触れ続けて、既に3年は経過する。その間、状況は悪化の一途をたどっているように見えるのだ。現状は、これまでにない緊急事態であり、今までの方法を続けては、問題の解決には至らないと思う。
医療現場をはじめ、食品メーカー、物流業、社会インフラを支える事業では、オーバーワーク、値上げなど、これまで禁忌とされてきた方法を用いて、安定や維持を最優先に動いている。自動車業界でも、こうした動きについていくべきだ。
ユーザーの事を考えるからこそ、値上げや在庫販売などの対策を取ってほしい。業界全体で一枚岩になり、難局を乗り切る場面は、既に目の前に来ているだろう。
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