シートベルトなぜしない!? 高速バスのシートベルト着用率の実際


 高速バスには現在、主に腰に装着する2点式のシートベルトが装備されている。高速バス乗車時には、ドライバーからアナウンスされるなど、装着は義務化されているが、見ていると装着していない乗客もちらほらいる。では実際の装着率はどれほどのものだろうか。

文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)

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シートベルトの形状と位置は座席や製造年により異なる

 以前に路線バスではシートベルト装着義務がない理由について記事を書いたが、今回は高速バスについてだ。これには貸切バスも含まれ基本的には同じ扱いなので、同義と考えていただいて構わない。

 高速バスでは立席はできないので、補助席がある場合を含めてひとり1席を必ず確保しなければならない。そしてすべての座席にシートベルト設置が義務付けられている。もちろん乗客には装着義務がある。

1+2の3列シートの例(九州産交)

 ただしこのような規制が施行される前に製造された古いバスは例外規定があるので、現在営業運行しているすべての高速バスがそうだというわけではない。またシートベルトの形状も2点式だけではなく3点式を備えたバスもある。

3点式は最前列だけ?

 3点式シートベルトが設置されているバスはたいていが最前列のみになっている。これは最前列では急ブレーキの際に乗客が前に飛び出しても体を止める前席がなく、フロントガラスを突き破って車外に放り出される危険があるためだ。

 2列目以降は前の座席の背もたれがストッパーになり、最低限2点式シートベルトを締めていれば、ケガをしても体ごと車外に飛び出す危険性は少ないため、2点式でもよいことになっている。

 とはいえ、3点式シートベルトのほうが安全であることは議論を待たず、コストはかかっても3点式を設置するほうが望ましい。ただし貸切バスで主に観光バスとして使用する車両では目的の性質上これがなかなか難しく、バスガイドが「右手をご覧ください」と言っても左側の座席の人は3点式だと体を動かせず見えないというジレンマもある。

 ところで全ての正座席に3点式シートベルトが標準装備されるバスメーカーは現在のところ1社しかなく、それは韓国のヒョンデ・ユニバースである。

ヒョンデ・ユニバースの3点式シートベルト

 これには理由があり、レーダーとカメラによる衝突被害軽減ブレーキシステムが動作したときには自動で強力な非常ブレーキがかかるため、すべての座席で3点式シートベルトを採用するのが非常の際には最も安全だとの思想からである。一方、オプションで全席3点式シートベルトが選択ができるメーカーはある。

 余談だが3点式シートベルトを開発したのはボルボ社だ。およそ60年前の話で、同社は特許を取得したが安全に関することは独占すべきではないとの考えから、この特許を無償で公開したことで、全世界に3点式シートベルトが広まり現在でも基本的な仕組みは変わらず使い続けられている。

バスだけの統計はないが…

 ところで高速バスのシートベルト装着率はどれくらいかという公的な統計はないが、概ね7割程度ではないかと思われる。運転士が車内アナウンスでシートベルトの着用を促すことが取り決められ、必ず発車前後に言われることから装着率は向上してきていると思われるが、シートベルト装着は乗客の義務なので必ず締めよう。

 日本でここまでバスのシートベルトに対して厳しくなったのは、大きな死傷事故が発生した以降に国土交通省による対策委員会において勧告されたからである。日本でこうした状況になる以前から(当時の日本からすれば)異様にシートベルト装着率が高いと感じた国があった。

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