渋滞でエアコンが効かない!?? そんな時の奥の手「空ぶかし」で冷気が戻るってホント?

■「空ぶかし」でエンジン回転数を上げて冷やすのはあり?

 渋滞時や停車時にエアコンが効かなくなった場合、どのような対処方法があるだろうか。

 高速道路上での大渋滞となると、日陰もない炎天下で熱せられたアスファルトの道路上には熱気をまとった大量のクルマがいるわけで、窓を開けても熱風しか入ってこない。

 そのような状況で唯一,ほぼどんなクルマでも特別な用意なしにエアコンの冷気を戻す手段といえるのは、「空ぶかし」だ。危険な暑さの中で応急的に冷却効果を得られる手段である。

 では空ぶかしをして2000回転近くまで回転数を上げるとどうなるのか。エアコンが正常なら涼しい風が出てくるはず。どういう仕組みか。

 ちなみに、筆者は7月の猛暑日に大阪にクルマで行ったのだが、この時のクルマが電気自動車(BEV)のボルボC40だった。原因はいまだわからないが、朝5時半頃から9時間以上、風は出てきたが、エアコンがまったく効かなかった(対処法があったことを後日知った)。

 仕方なく窓を開けて大阪までの高速道路を走ったが、C40はガラスルーフになっており、サンシェイドもなく遮熱性もあまりない。天井のガラス部分の温度は60度くらいの熱さになっていた。炎天下でエアコンが効かないことはここまで苦しいのか。窓を開ければ風が入ってくるから、渋滞時のエアコン効かない状態よりまだましだったのかもしれないが、時折めまいがするような暑さに見舞われた。

 話を戻して…。回転数を上げるとなぜ冷気が戻るのか。アイドリング状態でエアコンを使っていると、電気を発電するオルタネーターの能力が3-5割まで落ちる。そうするとバッテリーの中の電気がどんどん減って風を冷やすための電気が作動しなくなる。結果、風が生ぬるい状態になる。

 そこでエンジンの回転数を2000回転くらいまで上げてみると(つまり空ぶかし)、オルタネーターの発電能力が復活し、冷たい風が出てくるようになる。ほんの数分でも冷気で生き返ったような気持ちになる。

 エンジンの回転数をあげることでオルタネーターによる発生電流を増やして涼しくなるというわけだ。

 燃費が悪くなるのは仕方ないが、エアコンが効かない、走行風も入ってこない車内は地獄である。大切な家族を乗せているクルマならなおさら、暑さから命を守る義務がある。燃費どうのこうのとは言っていられないだろう。

 なお、いくつかの自動車メーカーやエンジン専門家に確認したところ、「エアコンから冷気をだすための空ぶかし」はクルマにとって悪い影響はないとのこと。具体的には以下の方法で試してみて欲しい。

(1)内気循環にする(熱い外気を入れないため)。
(2)シフトをNに入れてアクセルペダルを踏み回転数を2000回転くらいまで上げる。なおMT車の場合、ギアを入れてクラッチを踏んだ状態ではなく必ずニュートラルに入れてから回転を上げるように。クラッチを踏んだまま回転を上げるとクラッチ摩耗の原因になる。
(3)エンジンの水温計を見て、オーバーヒートに気をつけることも必要。

 一時的ではあってもエアコンの冷気が戻ってくれば車内の温度は下がり、気分もよくなるだろう。命を守るための応急措置として試してみてはいかがだろうか。

■車内温度を上げないためには百均のアルミロールシートを隙間なく使うと効果的

 渋滞でエアコンが効かなくなることが予想されるのであれば、車内温度を上げない、また車内温度をできるだけ涼しく保つことも考えるべきである。近年はフロントガラスや運転席、助手席にも貼れる保安基準(光線透過率70%以上)を満たした遮熱フィルムも出てきているので準備に時間の余裕があれば遮熱フィルムの利用もよいだろう(ただし、渋滞でエアコンが効かなくなるのはフィルムが貼ってあっても同じだが)。

 クルマのボディ形状によっても日射熱から受ける影響はかなり違ってくる。走行中の車内温度を上げる一番の要因はフロントガラスからの日射熱であるが、さらにリアウィンドウからの日射熱も形状や角度によっては強烈な熱源になる。

 例えばクーペやスポーツカーのように前後の窓面積が広く、そして窓に角度がついているようなクルマは容赦なく窓から注がれる日射熱に苦しめられる。一方ミニバンやSUVのようにフロントガラスの角度が立ち気味でリアガラスはほぼ垂直であればクーペタイプほどの影響は受けないだろう。

 ちなみに筆者のクルマは1998年式のアルファスパイダーで、角度がついたフロントウィンドウ+アクリル製リアウィンドウ+黒い布製の幌という最悪の条件である。車高も低いので、アスファルトからの熱もすごい。

 このようなクルマはリアウィンドウからの熱を遮断することをまずは考えるべし。簡単に用意する方法としては紙製の折り畳み式サンシェードや吸盤式で窓を覆うタイプがポピュラーではあるが、実はこられはあまり効果が期待できない。というのも、隙間なく設置することが難しいからだ。窓からシェードが浮いた状態になってできる隙間、そして窓の大きさにシェードのサイズが合わずにできてしまうシェード周囲の隙間…。

 ほんの数センチの隙間や空間からでも日射は降り注いでくるので遮熱効果は半減する。真夏の太陽エネルギーはすさまじいのだ。

 そこでお勧めしたいのが、百均で売っているアルミロール(アルミシート)である。これをリアウィンドウに合わせてぴったりと貼る。アルミロールシートなら薄くて柔らかいので、ハサミでも簡単に切ることができる。

アクリル窓にアルミロールシートを貼った状態。かなり隙間ができているのだがこの状態でも10度以上車内の温度が下がった!!隙間なく、シートが浮くことなくぴったりと貼ればもっと効果が見込めるはず
アクリル窓にアルミロールシートを貼った状態。かなり隙間ができているのだがこの状態でも10度以上車内の温度が下がった!!隙間なく、シートが浮くことなくぴったりと貼ればもっと効果が見込めるはず

 なお、走行中でもエアコンが効かないようなケースや、渋滞中に回転数を上げても冷たい風が出てこない場合は、エアコンのガス抜けや故障の可能性がある。そのような場合は当然空ぶかしで冷気を戻すことは不可能となる。車内の温度はすぐに40度を超えてしまい、熱中症を引き起こす恐れもある。炎天下の車内にいるのは危険と判断しよう。

 高齢者や幼い子どもが同乗しているのであればなおさら早め早めの行動を。窓を全開にして渋滞が解消されるまで、また日差しが弱まるまでサービスエリアなどで休憩するか、一般道路に降りることをお勧めする。

 なお、JAFや損保のロードサービスは「クルマの走行ができない」以外はレッカー移動などに対応していないのだが、JAFにおいてはエアコンの故障などについて実車をみて故障原因を調べてもらうサービスもある。会員は無料(会員以外の場合、一般道+昼間で約1万円)。ただし、その場で故障原因が判明するかどうかは確約はできないとのことであった。

 今年(2022年)は梅雨明けが早かったが、猛暑はまだしばらくは続きそうである。渋滞などでエアコンが効かない場合は一時的な冷気を戻すために空ぶかしが有効。車内温度を上げないためにはアルミロールで隙間なく密着して日射熱を遮断すべし。エアコンが故障しているのなら暑さに耐えて走り続けるのは危険なので、SAPAに避難して次の行動を考えよう!

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