■悲しい事故を減らすためにはどうしたらいいのか
イタルダの調査結果をまとめてみると、3歳以下の子どもがクルマに衝突して亡くなる事故の場合、「家から近い場所で平日の昼間にミニバンやワンボックスを運転する親世代のドライバーの不注意(クルマの前に子どもがいたことに気づかない)によって起きている」パターンが多いことがわかる。
もっとも安全な場所であるはずの自宅のすぐ近くで命を落とすことは、大変悲しく悔やまれる事故である。
自宅近くでの事故となれば、運転者は父や母、祖父母など家族であるケースがほとんど。自分の不注意でかわいい我が子や孫を死なせてしまうことは後悔してもしきれない。一生、重い十字架を背負って残りの人生を過ごさなくてはならない。
それでは、我が子を死なせてしまうという悲惨な事故が起きないようにするにはどうしたらいいのか。イタルダの調査結果を踏まえて以下のことを、今いちど肝に銘じておきたい。
(1)親戚や家族がたくさんいても、幼い子どもがいま、どこにいるのか?を常に意識して行動する
(2)クルマで出かける際には、きょうだいなどほかの家族に確認させたとしても、必ずクルマを発進する前にはドライバーが子どもの存在を確認する(全員乗っているか? クルマの周囲に子どもはいないか?)
(3)死亡例が多い0-3歳児はもちろん、子どもをクルマから降ろす際には、クルマを完全に駐車して降りる準備をしてからドライバーと一緒にチャイルドシートから子どもを下ろす。もしくは家の中に誰かいる場合は、子どもを先に下ろして家族に確実に引き渡しておく(この場合、子どもがクルマに戻った親を後追いしないようしっかり家の中にとどめておくこと。子どもは親の姿が見えないと探そうとして追いかけてクルマに戻る危険もあるからだ)
これらの注意事項は親子関係や家族構成、家と駐車場の位置関係など考えてベストな選択をしてほしい。
なお、車内で短い時間(1-2分)子どもを待たせる場合にはクルマの鍵を子どもに渡さないこと。子どもが鍵を持って車内で操作しインロックしてしまう事故が多発している。やむを得ず、子どもを車内に待たせる場合は1-2分程度にとどめることも重要だ。
ご近所さんとの立ち話に夢中になって車内に子どもを置いてきたことをすっかり忘れてしまうトラブルも珍しくない。
どんな時でも、自分で自分の命を守れない子どもがいる家庭では、常に子供の居場所を片時も忘れることなく把握しておくことが大切だ
■運転席から小さな子どもはどのように見えるのか確認しておこう
クルマによって、またドライバーの着座位置や視点によっても当然子どもの見え方は大きく変わる。他の家族の協力が得られる場合に限り、実際に子どもをクルマの前に立たせてみて見え方を確認しておくことを勧めたい。
危険な場合は子どもと同じ身長の棒などを立ててみてもいいだろう。身長によって運転席からの見え方がどう変わるのか? なお1歳0か月の子どもの身長は約75cm、多くの子どもが自分でしっかりと歩き始める1歳6か月では約80cmである。保安基準で定められている身長1m(6歳児平均)には程遠いことも知っておきたい。
身長1m以下の子どもの姿が運転席から確認できなくても保安基準には適合していることになる。
自分の子どもや孫がどれくらいの身長なのか?を知っておくこと、そして子どもがクルマの前に立った時に運転席からどのように見えるのか。
身長150cm以下の小柄なママと180cm以上の大柄なパパでは見え方も当然異なる。ドライバー自身が座って確認することが大切だ。またシートハイトアジャスターなどシートの高さ調整ができる車種なら最大限、座面を上げて安全確認しやすい位置にセットしてほしい。
夏休みや年末年始などの帰省シーズンは家族や親せきが大勢集まるという家庭も多いだろう。みんなで子どもに注意をしておくのは重要だが、「誰かが見ているだろう」「さっき、親戚の子どもと遊んでいたから大丈夫だろう」という「だろう」ではなく、クルマを運転するドライバーや親自身が子どもの居場所をしっかりと確認しておくことを心掛けて欲しい。ほんの一瞬の不注意や思い込み、カン違いによって取返しのつかない悲しい事故が起きませんように祈るばかりだ。
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