平成も残すところ半年を切った。1989年から現在に至るまで、さまざまな車が誕生し、また消滅してきたなかで、生き残った“平成生まれの国産車”は、今や定番に成長したモデルといえるだろう。
レガシィ、プリウス、スイフトなど平成に生まれた車の最新モデルは、初代を超えたのか? 絶対的な性能だけでなく、車としての魅力も含めて“初代”と“最新”の実力を改めて比較する。
文:岡本幸一郎
写真:SUZUKI、編集部、HONDA、SUBARU
プリウス/1998年登場、現在4代目
「21世紀に間に合いました」のキャッチコピーで1997年末に誕生したプリウス。今ほどガソリン単価が高くなかった時代ではあるが、誰でも実感できるずば抜けた燃費のよさには驚かされたものだ。
それから現在までプリウスは「特殊」な車から「普通」の車になり、しかもベストセラーとなったのは周知のとおり。
現行の4代目は、デザインが云々とよく取り沙汰されているが、そんなことが話題になるくらい余裕が出てきたということではないかと思っている。トップの座からはやや遠ざかっているとはいえ、これだけ売れていればたいしたものだ(※10月は登録車4位の8792台)。
初代と4代目を比べると内容的にはすべてにおいて相当に大きな進化を遂げていて、初代のほうがよかった点など何も思い浮かぶものはない。
デザインも当時としては初代も未来的に見えたものだが、いまやノスタルジーすら感じるほど。それはそれで良い味を出しているとはいえ、いざ走るといただけない点が散見さられたのは事実。
加速が鈍く、ブレーキはカックン。ワインディングはおろか高速道路をただ巡行することすらおぼつかないほど操縦安定性が低かった。
それが代を重ねるごとに改善されて、最新の4代目ではもはや走りは別物。スポーツカーと同じ目線でハンドンリングを語れるぐらいになった。4WDが選べるようになったのもポイントが高い。
プリウスの本質である燃費についても、10・15モードで28.0km/LからJC08モードで最大40km/Lオーバーに達している。やはり4代目の圧勝だ。
フィット/2001年登場、現在3代目
2001年に誕生するやスマッシュヒットを飛ばし、翌年には国内年間販売台数において33年間ずっとトップの座にいたカローラを引きずりおろしたのは有名な話。
小柄なサイズながらセンタータンクレイアウトにより、広い室内空間を実現したかつてないパッケージングをはじめ、軽快な走りや燃費のよさが人気の要因だ。
その延長上で、正常進化した2代目ではハイブリッドも加わって、ますます勢いを増した。中古車の人気も高く、同じカテゴリーの中でフィットだけ相場が高めに推移していた。
ところが現行の3代目は、絶好調だった頃に比べるとだいぶ控えめな感じがする。
ダウンサイジング志向の高まる世の中にあって、N-BOXのような強敵が身内から出てきたことも響いているし、件のリコール問題がいまだ尾を引いているという事情もあるわけだが、肝心のクルマ自体はどうか?
むろんハード面では進化していて、昔とは違うクセのあるスタイリングを毛嫌いする人も少なくないようだ。
ただ、初代にはなく、2代目では「IMA」を搭載したハイブリッドが、3代目では「i-DCD」となり、効率はよくなったもののスムーズさに欠け、明らかに乗りにくくなった。まあ、このデザインや乗り味が好きという人もいるわけで、魅力が増したのかどうかは、ユーザーの捉え方次第だろう。
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