■協定未加入でも正規輸入できないわけではない
それによると「北米車は欧州のUN ECE基準を採用している」との回答だった。ネット上の各種情報の中には、技術基準適合証明(COC)を国土交通省に提出して認証されると1958年協定加入国以外からの輸入も可能といった情報があるが、これは並行輸入などへの対応であり、「型式指定車では使用できない」ということだ。
また、日本ではキャデラックとシボレーのブランドを展開しているゼネラルモーターズジャパンは、北米から日本向け輸出車は日本の法規(保安基準)に沿った車両を北米で開発している」との回答だった。加えて、右ハンドル車の採用についても聞いたところ「新型コルベットのほか、過去にはシボレーキャプティバなどで採用しているが、日本での販売計画台数と対応のためのコスト等とのバランスを考慮した結果だ」と説明した。
次いで、型式指定に関して国の関連機関にも問い合わせたところ、中国やアメリカなど「1958年協定に未加入であっても、日本への正規輸入ができないことではない」との点を強調した。基本的に、日本の保安基準をクリアし、国の審査を受けて型式指定されれば、中国でもアメリカでもどの国のクルマでも正規輸入が可能であることに、以前からこれまで大きな変化はないと言う。
UN基準を取得して少数輸入の制度を利用していた!
また少数輸入自動車のために、PHP(輸入自動車特別取扱制度)がある。これは「型式指定制度とは異なり、新規検査の際の現車提示を省略することはできないが、販売台数が少ない場合は、型式指定制度を利用するよりコストが少なくて済む」(国土交通省資料)という制度だ。このPHPでは、いくつかの装置についてUN許可証が必要とのことだ。
では、BYDについてはどうなのか? BYD AUTOジャパンに質問を送り、その回答を得た。それによると、中国は1958年協定に未加入であることを踏まえて「個々のメーカーでの認証のおいては、UN ECE基準を取得可能な第三者機関(例:ドイツTUV、スペインIDIADA等)により許可証を取得することで、(輸入に対する)出身国を問われるものではない」としている。
その上で「BYDの中国から海外向けの輸出車はUN ECE基準をクリアして、日本での保安基準に対して試験成績書を提出した上で、国土交通省からPHP許可を得ている」との説明だ。さらに、今後は日本での型式指定を目指すという。
このように、中国メーカーであっても、新車を正規輸入する方法が複数あり、販売台数規模等を考慮した対応策を講じていることが分かる。中国には大手、中堅、そしてベンチャーなど数多くの自動車メーカーが並存している。グローバルでのEVシフトが進む中、様々な中国ブランドEVが日本市場に上陸する可能性は十分にあり得ると言える。
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