自動運転システムや先進安全技術は、交通事故や渋滞の削減、ドライバーの負担軽減など、交通社会に大きな変革をもたらすことが期待できる技術として、精力的に開発が行われている。
そのなかでも、ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)は、安全かつ快適なドライブを実現するうえで、いまや必須の機能として注目されている。どうしてこれだけのニーズがあるのか、その成り立ちと今後の見通しなどを解説する!
文/フォッケウルフ
写真/フォッケウルフ、トヨタ、ホンダ、スバル
■安全運転をサポートしながらドライバーの負荷を軽減!
自動運転システムや先進安全技術は、交通事故や渋滞の削減、ドライバーの負担軽減など、交通社会に大きな変革をもたらすことが期待できる技術として、精力的に開発が行われている。特に先進技術を利用してドライバーの認知・判断・操作を支援し、安全かつ快適なドライブを実現する機能を持った「ASV(先進安全自動車)」は、ここ数年で一気に普及が拡大した。
ASVは、もともと交通事故の減少を目指したものだが、自動運転を実現するうえでも必要な技術だ。このASVに関する技術の開発・実用化・普及を促進するためのプロジェクトがあり、「ASV推進計画」と銘打って平成3年度から約30年にわたる取り組みが行われている。
2021年11月から新型車への搭載が義務化された「衝突被害軽減ブレーキ」や、「車線逸脱警報装置」「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」といった機能は、新車で購入できる車種のほとんどに採用されている。こうした運転支援機能は安全運転をサポートするのが主たる目的だが、運転支援によってドライバーの負荷軽減を可能にするものもある。それがACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)だ。
ほかの運転支援機能より世間的な認知度は高くないようだが、ACCの機能は、一定速度を維持して走行する場面で、自動的にアクセル開度やブレーキングなどを制御するというもの。
過去には速度をあらかじめ設定しておくことで、それを維持して走行できるCC(クルーズ・コントロール)という機能もあったが、こちらは周囲の交通状況に関係なく設定した速度を維持するため、前方にクルマが走っている状況で車間距離を一定に保つためには、ブレーキ操作を行う必要があり、いまいち使い勝手がよくなかった。
ACCは、従来のCCを発展させたもので、車間距離を一定に保つためのセンサーとコンピューターがクルマに搭載されており、速度を維持しながら、前方の車両の速度が遅くて追いついてしまったり、別の車線から車両が割り込んできたりしたときには、クルマがスピードを自動的に落としてくれる。
高速道路や自動車専用道路を利用している時などは、アクセルとブレーキの操作は、ほぼクルマ任せで運転できる。交通の流れに合わせて速度を調整するので、運転負荷の軽減に効果が期待できるわけだ。
ACCが車間距離を一定に保つため、クルマにはミリ波レーダーまたは光学式カメラセンサー、あるいはその両方が搭載されている。それぞれに特徴はあるが、前走車との距離を計測し、その情報に基づいてアクセルやブレーキを自動で制御している。
一般的に、ミリ波レーダーは雨や霧などの悪天候下や夜間でも影響を受けにくく、照射距離が長い(200m前後)ため、より高い車速にまで対応することができる。一方の光学式カメラセンサーは、カメラが映した情報をデジタル化することができるため、車両だけでなく道路の白線なども認識できる。
今どきは状況をカラーで認識できることから、赤く点灯する前車のブレーキランプを認識できるようになり、これまで以上に素早く、精度の高い減速操作ができるようになっている。ミリ波レーダー+光学カメラセンサー搭載車は、両方のメリットを併せ持っていることから、どちらか一方のACCよりもより高度な制御を可能にしている。
コメント
コメントの使い方この世代は基本的に未知のテクノロジーに対して否定的だけど
初めてSuica類のIC乗車カードを持った時と同じ位の衝撃がある
機械嫌いのマニュアル車乗りですら唸らせるほど。
レンタカーや試乗などで一度試してみるのをオススメする