免許更新時の配布教材は誰が作っている? 試験場の前で勧誘している交通安全協会の正体とは

免許更新時の配布教材は誰が作っている? 試験場の前で勧誘している交通安全協会の正体とは

 交通安全協会をご存じだろうか? 春と秋の全国交通安全運動の時期になると交差点にテントが張られ、係員が安全啓発活動をおこなっているが、それを推進しているのが交通安全協会なのだ。

 また免許更新に行くと、安全運転のしおりや交通教本が渡されるが、これを作っているのも同団体だ。担当は見たことがないのだが、地域によっては免許センターで会員の勧誘をおこなっていることもあるという。

 そんな同団体の活動をご説明しよう。

文/藤田竜太、写真/Adobe Stock(トップ画像=jaraku@Adobe Stock)

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■具体的には何をしている団体?

免許更新時の講習で配られる「安全運転のしおり」や「交通教本」。これらの発行も交通安全協会が行なっている(Caito@Adobe Stock)
免許更新時の講習で配られる「安全運転のしおり」や「交通教本」。これらの発行も交通安全協会が行なっている(Caito@Adobe Stock)

 ドライバーにとって、わりと身近でありながら、けっこうナゾの組織ともいえるのが交通安全協会。運転免許証の更新時の講習業務を、各都道府県警から受託しているのが交通安全協会で(一部、民間企業が受託した例もある)、違反者講習や処分者講習も委託されている。

 また、免許更新時の講習で配られている「安全運転のしおり」や「交通教本」といったテキストの発行も交通安全協会が行なっている。

 そうした交通安全協会とは何なのか? 簡単にいえば、道路交通の安全を目的とする非営利団体で、その起源は大正時代にまで溯る歴史ある組織。

 民間の交通安全活動を組織的に推進するため、警察の指導により、広島、静岡、岐阜、福岡、愛知などの府県で「交通安全協会」が結成されたのがそもそものはじまりだ。

 一口に交通安全協会といっても、現在は全国組織の一般財団法人全日本交通安全協会と、都道府県単位の交通安全協会(公益財団法人、一般財団法人、一般社団法人など)、さらには警察署管轄区域に単位組織(任意団体)まであるので、ちょっと複雑……。

 具体的にどんな活動をしているかというと、全日本交通安全協会のホームページには、主な事業として下記の7つを上げている。

1.交通安全思想の普及啓発
2.交通安全教育の推進
3.各種研究会の開催等
4.交通安全表彰の実施
5.交通安全に関する調査研究の実施
6.交通安全教育用資機材等の作成・配分
7.諸外国との交流

 こうした事業のうち、主な財源となっているのが、前出の各都道府県警から委託されている運転免許証の更新時講習や違反者講習や処分者講習の受託料。これらの講習会の受託料は都道府県警から支払われている。

 そしてその他に、運転免許の更新時に、入会を勧められ、加入者が支払う会費=交通安全協力費(300~500円/年)もある。

 これがなかなか曲者で、かつては免許更新時に加入が義務であるかのような会員勧誘・会費徴収方法を行なっていて、全国市民オンブズマン連絡会議所属の弁護士に訴えられ、裁判沙汰になったことも!

 それまでは免許センターや運転免許試験場において、免許更新の事務窓口と同一の窓口があり、更新手続きに来たドライバーが半ば自動的に交通安全協会に加入する流れができていたが、件の裁判以降、入会は義務ではなく「任意」と表示されるようになり、露骨な勧誘も鳴りを潜めた。

 そのため、「交通安全協会への入会の勧誘なんて受けたことがない」という人もいるだろう。(※入会が任意であることを表示するようになってから、交通安全協会の会員数は全盛期の半分以下になったといわれている)

次ページは : ■交通安全協会の正体と加入のメリット・デメリット

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