なるか下剋上!? 兄貴分より強い弟分モデルを探せ 同門対決 8選

【SUBARU対決】 インプレッサ G4 → WRX S4

●WRX S4…336万9600円〜409万3200円
●インプレッサG4…194万4000円〜261万3600円

(TEXT/国沢光宏)

 この2モデル、乗り比べると「役者が違いますね!」と誰でもハッキリわかる。インテリアなど一部は、新しい世代になるインプレッサG4のほうが質感あっていいね、と思うけれど、走りの質についちゃ圧倒的です。

 WRX S4の場合、Dレンジをセレクトしアクセル踏むと太いトルクとパワー感に驚く。低い回転域からグイグイ加速していくのだった。エンジン音だって静か。考えてみたらs4のトルク、G4の2倍ある! パワフルなエンジンで車体が軽く感じるだけでなく、高級感あるから不思議。

 S4からG4に乗り換えたら賑やか。絶対的なエンジン振動も大きいというほどじゃないけどS4と比べちゃうと厳しい。街中にかぎらず、高速道路からワインディングロードに至るまで、すべての走行パターンでS4のほうが好ましい。一世代前のシャシーながら負けていないです。ということで残念ながら下克上に至らず! 高いぶんだけS4のほうがよい。

【下克上度判定…25点】

 G4は新世代プラットフォームを使うが、総合力では1世代前のプラットフォームを使うS4の勝利。クルマ作りの難しさが垣間見える。

【SUZUKI対決】 ハスラー → クロスビー

●クロスビー…176万5800円〜218万9160円
●ハスラー…110万520円〜174万8520円

(TEXT/渡辺陽一郎

 ハスラーは鈴木修会長が「Keiの後継になる軽自動車のSUVを作れないのか」と指示して商品企画が始まり、ヒット作になった。対するクロスビーは、イグニスと共通のプラットフォームを使ってエンジンは1Lターボだが、フロントマスクなどの外観がハスラーに似ている。

 両車を比べると、全長はクロスビーが365mm長いが、車内の広さはあまり違わない。クロスビーも空間効率は高いが、ハスラーの室内空間は先代ワゴンRと同じで、さらに効率に優れるからだ。室内幅を重視するとクロスビーになるが、4名乗車時の居住性と積載性はハスラーでも充分に満足できる。したがって実用性の下克上は成り立つ。

 しかし走行性能はクロスビーが明らかに勝る。1Lターボエンジンは余裕があり、小型車の全幅で安定性も高い。乗り心地はハスラーが硬めだから、クロスビーの快適性が際立つ。この機能では下克上は成立しない。

【下克上度判定…72点】

 2台の価格差は約50万〜70万円。5人乗車がマストでないのなら、ハスラーでいいかも?

【DAIHATSU対決】 ムーヴキャンバス → トール

●トール…146万3400円〜208万1160円
●ムーヴキャンバス…125万2800円〜167万9400

(TEXT/渡辺陽一郎

 ムーヴキャンバスは、全高が1700mm以下の軽乗用車では後席ドアが唯一スライド式になる。水平基調の外観に丸みを持たせ、アルトラパンに似た手法も採用して柔和に仕上げた。内装は上質で軽乗用車では乗り心地も快適だ。

 トールは急増する背の高い軽自動車の売れゆきに対抗する目的もあり、約2年の短期間で開発された。プラットフォームは2004年に発売された初代パッソ&ブーンと同じだが、車両重量は150kgほど重く、全高も約200mm高い。したがって安定性と乗り心地がよくない。1LのNAエンジンは動力性能が足りず、ターボは2000回転付近のエンジンノイズが耳障りに感じる。

 その代わり荷室のボードを反転させると汚れ防止シートになり、自転車を積みやすい。収納設備も豊富だ。使い勝手では工夫したが、やはり走りの機能と上質感に不満があり、ムーヴキャンバスのほうが総合的に優れた商品に仕上がっている。

【下克上度判定…95点】

 トールは、ムーヴキャンバス+20万〜30万円という価格で買える。この差額をどう判断するかも大事だ。


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