ほぼ同時期に登場したトヨタのニューモデル、クラウンとセンチュリー。ともに評判のいいクルマだが、クラウンには賛否が出るものの、センチュリーは手放しで絶賛という論調が目立つ。
この評価の差はなぜ生じるのか? 純粋にクルマの出来の違いからきているものなのか? その正体を探るのがこの企画。まずは本誌執筆陣の評価を聞く。
※本稿は2018年9月のものです
文:ベストカー編集部/写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2018年10月10日号
■クラウンは輸入車と真正面から戦おうとしている(国沢光宏)
■国沢光宏の評価点…クラウン:85点/センチュリー:100点

クラウン……全長4910×全幅1800×全高1455mm、ホイールベース2920mm、車重1770kg(2.5RSアドバンス)。パワーユニットは直4、2Lガソリンターボ、直4、2.5Lハイブリッド、V6、3.5Lハイブリッド(マルチステージ)の3種類で、2.5Lハイブリッドにのみ4WDが設定される。ガソリンターボは8速AT、ハイブリッドは電気式無段変速が組み合わされる。価格は460万6200〜718万7400円

センチュリー……全長5335×全幅1930×全高1505mm、ホイールベース3090mm、車重2370kg。先代レクサスLSのV8、5Lハイブリッドを搭載し、エンジン381ps+モーター224psの高出力を発生しながら、JC08モード燃費は13.6km/Lを誇る。ワングレードで価格は1960万円
●クラウンをどう評価する?
15代目クラウンの開発にあたり、社内では「徳川15代将軍にならないように」という声が少なからず出たそうな。ご存知のとおり徳川時代、15代将軍の慶喜公で終了した。クラウンも15代目で最後にならないようにしろ、ということです。
実際、今やセダンって風前の灯火。クラウンもマークXもカローラも、免許を返納しなければならない世代がメインユーザーになっているほど。
一方、輸入車を見ると、セダンの売れゆき減は日本車ほどじゃない。私だって先日BMWの3シリーズ買った。そんなことからクラウンの開発チームも伝統にこだわらず、新しい価値観で勝負しようとしたのだった。
空気抵抗減らしながらリアシートのヘッドスペースを確保できる6ライトのボディなど好例。走りも従来のクラウンの正常進化でなく、輸入車と真正面から戦おうとした。
達成できているかどうかはユーザーが判断することだろうけれど、もう少し乗り心地のカドを取り、インテリアの質感(主として素材)など頑張ったら相当イケそう。少なくとも輸入車を考えていた若社長や若旦那が「クラウンもいいね!」と踏み留まる魅力を持つ。
もう少しクラウンというブランドのイメージチェンジできたら、新しい時代の幕開けになるポテンシャルは持ってると思う。
●では、センチュリーは?
センチュリーのライバルはレクサスLSだった。だからこそ首相専用車も旧LSです。けれど新しいLSと新しいセンチュリーを比べたら、0.1秒も迷わないだろう。圧倒的に、おそらく1000倍くらいセンチュリーのほうが魅力的だ。
そもそも現行LS、リアシート狭くて話にならない。私のように身長あればヘッドスペース不足だし、恰幅のいい人だと総合的な容積が足りなくなるだろう。
VIP感というか、漂うオーラもまったく違う。LSなら「もっと広いアルファードのほうがいいかな」となるが、センチュリーは高貴な匂いを出す。わかりやすく書くと合流などで道を譲るときもアルファードなら「関わり合いになりたくないから譲る」だけど、センチュリーなら素直に「どうぞ」。
少なくとも今後5年くらいは、センチュリーって社会的に評価されている人が後席に座ってます。
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