クルマはどうすりゃいいのか……取り締まり急増中の「横断歩行者妨害」と、増える「歩行者にも過失アリ」での最適解

■横断禁止の場所でも人が渡っていたら止まるべき?

 片側3車線など幅の広い道路や交通量が多い道路では、「横断禁止」の標識をよく見かける。ここでは歩行者の道路横断は禁止されているという意味になり、意外かもしれないが歩行者が検挙されることもある。

 罰則としては『警察官等の指示に従わずに横断禁止場所を横断した場合は2万円以下の罰金又は科料』と定められている。

 このような場所で歩行者が横断しようとしていたらやはり、クルマは止まるべきなのだろうか。

 全国の都道府県警で展開している「交通相談」に聞いてみたところ、以下の回答を得た。

「横断禁止の場所を歩行者が横断しようとしていた場合、『横断歩行者等妨害等違反』としての取り締まり対象にはなりません。しかし、渡っている歩行者と衝突して事故を起こしてしまうと、場合によっては注意義務違反を問われる可能性が高くなります」

 このほか判断に困るケースを交通相談にていくつか質問してみたので、参考にして欲しい。

●長い横断歩道などで対岸から人が渡るのを待つより、クルマが先に行ったほうがお互いに良い場合もあるのでは? 特に高齢者や車いす、ベビーカーなどを使用する人が「わざわざクルマが止まってくれているから急いで渡らないと!」と、慌てて渡るのは危険に感じる場合がある。また、止まっているクルマの横から待ちきれない後続車が横に出て強引に追抜いていく(違反行為)ケースもあり、危険な状態を引き起こすことにならないか?

「横から抜いていくクルマはもちろん違反だが、遠くに見えていても横断歩道を渡ろうとする人がいる限りは渡り終えるのを待たなくてはならない。原則として横断歩道は歩行者優先なので、歩行者が安全にわたり終えるまで待たなくてはならない。」

●横断歩道の手前に渡るかどうかわからない歩行者がいる場合でも止まるべき?

「厳密には『渡る可能性がある歩行者や自転車に乗った人が誰一人として存在しない』ような場合を除いては、横断歩道はいつでも止まれるよう『徐行』で通過しなくてはならない。」

●信号がない繁華街の横断歩道など人波が途切れない場合は?

「通行する歩行者が途切れない横断歩道などでは、必ず一時停止をして安全を確認する。人波が途切れない場合は、途切れるまで待つのが原則。たとえ何時間かかっても、後ろのクルマにクラクション鳴らされても、横断歩道を渡る、渡ろうとする歩行者が完全にいなくなるまで待つ」

(警察の交通相談で聞いたところ、このような答えが返ってきた。渋滞を引き起こそうが、後続車にクラクション鳴らされようが、「何時間でも待つ」のがルールだそう。警察としてはこのように答えるしかないのかもしれないが…)

写真は銀座。ここまで混んでいなくても、ちょっとした繁華街なら「何時間でも人が途切れない横断歩道」などはありそうだが…そういう場合はどうすれば……
写真は銀座。ここまで混んでいなくても、ちょっとした繁華街なら「何時間でも人が途切れない横断歩道」などはありそうだが…そういう場合はどうすれば……

●歩行者からドライバーに対して「お先にどうぞ」と譲られた時は行ってもいい?

「原則として歩行者から譲られた場合でもクルマは止まる義務がある。現場の状況によっては横断歩行者等妨害等違反として取り締まりの対象になる場合もある。」

 歩行者から「譲られない」ためには、横断歩道で急ブレーキをかけて止まらない、ゆるゆるとクルマを進行させずしっかり停止線の手前で止まる。停止線がない場合は、歩行者にプレッシャーを与えないよう数メートル離れた場所で停車することを心掛けたい。

 ただし、このような場合、気を付けるべきは横をすり抜けていく違法車両だ。
横をすり抜けようとするクルマをサイドミラーで発見し、歩行者に対して危険な行為となりそうな場合はクラクションを鳴らすなどして警告すべき。実際に、横断歩道前で停止しているクルマを追い越そうとしたところに歩行者が現れて、歩行者をはねてしまう事故も発生している。

 歩行者ならなにをしてもお咎めナシ、ということはなく、近年、事故の現場で歩行者の過失が認められることも増えている。しかし、一番は事故を起こさないことだ。対歩行者との事故を極力避けるためにも、横断歩道を通過する際には歩行者優先であることをしっかりと覚えておきたい。

【画像ギャラリー】クルマはどうすりゃいいのか……取り締まり急増中の「横断歩行者妨害」と、増える「歩行者にも過失アリ」での最適解(10枚)画像ギャラリー

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

S-FR開発プロジェクトが再始動! 土屋圭市さんがトヨタのネオクラを乗りつくす! GWのお得情報満載【ベストカー5月26日号】

S-FR開発プロジェクトが再始動! 土屋圭市さんがトヨタのネオクラを乗りつくす! GWのお得情報満載【ベストカー5月26日号】

不死鳥のごとく蘇る! トヨタS-FR開発計画は再開していた! ドリキンこそレジェンドの土屋圭市さんがトヨタのネオクラシックを一気試乗! GWをより楽しく過ごす情報も満載なベストカー5月26日号、堂々発売中!