若い年代の男女の7割がAT限定免許を選ぶ理由とは?

若い年代の男女の7割がAT限定免許を選ぶ理由とは?

 日本トレンドリサーチとグーネット中古車がこのほど、普通自動車運転免許を取得したことがある男女500名を対象に実施したアンケート「普通自動車運転免許の取得」によると、30代以下の約7割が「AT限定」で運転免許を取得していることが明らかとなりました。

 今回は、若い世代がAT限定で運転免許を取得する理由について、教習所での指導経験がある筆者が考察します。

文/齊藤優太、写真/AdobeStock(トップ画像=zhikun sun@AdobeStock)

【画像ギャラリー】MT車って乗る機会なさそうだし……市場の9割がAT車ならばAT限定免許が選ばれるのも必然!?(6枚)画像ギャラリー

■AT限定免許でも支障がない昨今のクルマ社会

30代以下の世代には、日常生活の中でMT車を見たことがないという人も少なくない(Paylessimages@AdobeStock)
30代以下の世代には、日常生活の中でMT車を見たことがないという人も少なくない(Paylessimages@AdobeStock)

 アンケート調査の結果では、年齢層が低いほどAT限定で免許を取得する割合が多く、年齢層が高くなるほどMT免許取得の割合が増えていくという結果になりました。日本トレンドリサーチが公表したアンケート結果は次のとおりです。

【取得した運転免許】
 30代以下(n=171):AT限定=64.1%、MT=35.9%
 40代(n=117):AT限定=35.9%、MT=64.1%
 50代以上(n=50):AT限定=26.0%、MT=74.0%
 (※日本トレンドリサーチ「普通自動車運転免許の取得」より)

 普通自動車の「AT限定」免許が増設された1991年11月1日に18歳だった人たちは、2022年現在40代後半であることから、40代以上のAT限定免許の割合が少ないのは必然的な結果といえます。

 一方、30代以下の世代の人たちの中には、MT車の運転を日常生活の中で見たことがないという人も少なくないでしょう。そのため、「クルマ=AT車」になっていると推測できます。

 日本で流通している乗用車のうち9割以上がAT車、MT車はわずか1割程度と言われていることからも、生活のなかでMT車を見る機会が少ないことは明らかです。そのため、免許はAT限定で問題ないと考える人が多くなっているといえるでしょう。

 つまり、AT限定免許でも日常生活やプライベートでのドライブに支障がないということが今回のアンケート結果に反映されたと言えます。

■AT限定のほうが料金が安くて時限数も短い

AT限定免許を選ぶ人が増えている背景には、自動車教習所のシステムにも関連がある(maroke@AdobeStock)
AT限定免許を選ぶ人が増えている背景には、自動車教習所のシステムにも関連がある(maroke@AdobeStock)

 教習料金は教習所によって異なりますが、MT免許よりAT限定免許のほうが数万円ほど安いことがほとんどです。また、最短教習時限もMT(1段階:15時限、2段階:19時限)より、AT限定(1段階:12時限、2段階:19時限)のほうが短いため、とりあえずAT限定で免許を取得しようと考える人もいるでしょう。

 もし、AT限定免許を保有している人がMT免許にしたい場合は、限定解除(4時限以上の教習と審査)によってMT免許にすることができます。この限定解除は、指定自動車教習所で行っている教習のひとつです。AT限定免許を取得する時に通った教習所であれば、「卒業生割引」などにより料金が安くなることもあります。

 また、教習所の多くは「教習のオプション」を用意しています。教習のオプションとは、技能教習の時限が超過した場合に追加料金が発生しないオプション、効果測定の再受験が必要になった場合に追加料金が発生しないオプションなどです。

 特に、技能教習(運転の教習)は、時限が延びてしまうと1時限あたり5000円近くの追加料金が発生することから、技能教習の追加料金を保証するオプションを付帯したいと考える人は多くいます。

 ただし、技能教習追加料金保証オプションは条件付きのケースが多く、「5時限(5コマ)分まで保証」や「◯歳まで」、そして「AT限定免許に限る」など、範囲がかぎられていることがあります。

 つまり、AT限定免許であれば技能教習追加料金保証オプションを付帯できるものの、MT免許の場合はオプションを選ぶことができないという教習所もあるのです。

 MT車の運転操作は、AT車より複雑であるため、教習時限が延びる可能性があります。しかし、MT免許のプランに技能教習追加料金保証オプションを付帯できないという理由から、AT限定で免許を取得するという考えになる人も少なからずいるでしょう。

次ページは : ■アンケート結果を見て元教習所職員が伝えたいこと

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