資材の不足と高騰はまだまだ続く!?
ロシアは、アルミニウムやマグネシウムの生産においては世界2位(それぞれ2020年と2019年)であり、ニッケルは3位(2018年)、鉄鋼石は5位(2019年)を誇る。
また、それら構造部品に使用するものだけでなく、モーターや蓄電池に使うニッケルやアンチモンなどの貴金属も高騰している。さらにマフラーの触媒に欠かせないパラジウム、プラチナなども同様だ。
これらはすべてロシアが高い輸出量を誇る原材料ばかり。その流通がスムーズでなくなれば、市場における価格は当然ながら上昇する。
世界の原油価格の指標となるWTI原油先物価格は、ウクライナ戦争が勃発した2月には1バレル130ドルまで跳ね上がったが、9月中旬には90ドルを切るまで落ち着いている。しかし、原油はドルで取引される。円安が進む日本にとっては、樹脂製品や輸送費など、あらゆるコストが上昇する。
半導体の不足は、今や世界で常態化している。最新プロセスによるハイスペックなものだけでなく、クルマに多用されるベーシックな汎用半導体も足りておらず、価格上昇以前に、確保事態が困難な状況が続いている。
さらに進む金利差、そして円安で状況悪化は不可避
そして円安。米国のインフレは激しく、それを抑えるためにFRBは利上げを決定した。その際、アメリカ経済の停滞を危惧した投資家は、いったんNY株式市場などからはリスクオフする気配を見せたが、為替においては9月1日に1ドル140円を突破、同7日には144円を超えている。
積極的に利上げするFRBと、経済活動を停滞させまいと低利子を固持する日銀は対象的であり、両国の金利差は開くばかりだ。
昨年9月には151円だった英ポンド/円も、この9月には166円を超えている。ブレグジットを果たした英国も、やはり高いインフレにさらされていて、30年ぶりの高い利上げに踏み切った。
ECB(欧州中央銀行)も同様に上昇し続けていて、8月末にはドイツのインフレ率はユーロ導入後、最高の数値となっている。
つまり、世界的なインフレが加速する現在、世界的な金利上昇が起きている。そうした状況のなかで、低金利な円を好んで買う投資家はいない。いや、円をもっていたらヤバいと考えるのが普通だ。利率の高い国にお金が集まるというのは世界経済における定理と言える。こうした状況のなかで、円安が収まる理由は今のところは見つからない。
結果、クルマを買うタイミングは?
日銀は利上げをする気配がない。ということは、クルマのローンの利率が急激に上がることはないと思われる。これは購入者にとっては利点だ。
また、原材料や半導体の不足も目途が立っていない。つまりメーカーは高いコストを支払い続け、それらは今後も車両価格に反映される可能性が高い。つまり、これから発売が開始されるモデルも、または既存モデルでさえ、状況が変わらなければさらなる価格上昇が予想される。
そして為替に関しても、円高傾向になる要素がまったくと言っていいほど見つからない。つまり、原油、資材、輸送サービスにも、割高なコストを支払い続けることになる。
さらに、やっと稼働し始めた岸田内閣が、来年、増税しないとは言い切れない。こうした現状を鑑みれば、「買うなら今」という答えにたどり着く。
クルマが故障して買い替えなくてはならない場合や、特定の新型車が欲しい場合は選択の余地はない。そうでなければ、この経済状態が沈着するまで購入を控えるか、または、さらなる値上げに備えてすぐに購入するかの選択となる。
いずれにせよ、買い物で「お得感」が感じられるような経済状態に戻る気配がない今、その選択は賭けとなる。バブル経済の崩壊、リーマンショックと同様に、クルマユーザーにとっては厳しい局面であることは間違いないだろう。
購入を決定し、しかも納車期間が長期に渡る、または納期の目途が立たないようなモデルを選択する場合には、納車時の状況が大きく変わる可能性があることも念頭に置いておきたい。
世界経済はちょっとしたイベントで瞬時に変化する。世界経済の動向に注視しながら購入タイミングを計りたい。
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コメント
コメントの使い方このご時世だし、多少の値上げは仕方ないと思うけどなぁ…
そりゃあ、50万100万値上げするというなら話は変わってくるが…
上がっても数万〜十数万でしょ?大して支払い額は変わらないと思うよ。