何よりも“走り”が最優先のスポーツ4WDと違って、コンパクトカー、SUV、ミニバンといった実用車の4WD選びで重視される要素のひとつが“コストパフォーマンス”だ。
いくら4WD性能がいいからといっても価格が高すぎるのでは割が合わない。4WD性能と価格が適度にバランスされている4WD車のほうが、買い得感があって魅力的という人は多いはず。
そんなコストパフォーマンスに優れた4WD車はどれか? 3つのカテゴリー別に各3車ずつ、自動車ジャーナリスト渡辺陽一郎氏にピックアップしてもらった。
※本稿は2018年10月のものです
文:渡辺陽一郎/写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2018年11月10日号
■コスパで選ぶ4WDのキモ
まず2WDと4WDの価格差を確認する。15万円以下なら割安で、20万円前後でも電子制御式であれば納得できる。最も多い価格差は20万~25万円。4WD装備だけで30万円近くだと少し割高だ。
注意したいのは、4WDと併せて別の装備を加える場合があることだ。4WDは積雪地域で多く使われるから、フロントウィンドウに熱線を入れたり、ミニバンでは2列~3列目席のエアコンを上級化する。
滑りやすい下り坂を安定して走れる「ヒルディセントコントロール」を加えることもある。4WDの損得勘定をする時は、これらの付加価値も含めることが大切だ。
■コンパクトカー編
コンパクトカーの4WDを評価する時の条件は、2WDと比べた時の価格上昇と、燃費の悪化率、そして悪路の走破性能がポイントになる。
価格ではヴィッツに注目。割安な1.3Fで見ると、4WDの価格は2WDと比べて10万8000円の上乗せに抑えた。軽自動車を含めた4WDのなかでも特に安い。
ただしJC08モード燃費は、2WDが25km/L、4WDは18km/Lだから4WDは28%悪化する。4WDの機能は機械式のビスカスカップリングだから、前輪が空転した後でないと後輪に駆動力が伝わらない。それでも低価格は注目といえる。
逆に4WDの高機能で選ぶならデミオだ。電子制御式の多板クラッチが、走行状態に応じて後輪へ駆動力を伝える。この制御には、電動パワーステアリングの操舵力からワイパーの作動までさまざまな情報を使う。ドライバーの意図や路面状態をあらかじめ的確に検知して4WDを制御するから、雪上の坂道発進でも前輪が空転しにくい。
クリーンディーゼルターボのJC08モード燃費は、2WDが26.4km/L、4WDは22.8km/Lだから、悪化率は14%と少ない。価格は2WDに比べて20万5200円高いが、相応の価値を備える。
イグニスは最低地上高に180mmの余裕があり、機能がSUVに近いから、4WDとの相性もいい。4WD仕様にはヒルディセントコントロールも装着され、滑りやすい下り坂では、4輪のブレーキが自動的に独立制御されて安定性を保つ。4WDの価格は、2WDに比べて13万7160円の上乗せだ。前述の付加機能を考えれば割安といえる。
コメント
コメントの使い方