クラウンは変わったが……もうひとつのビッグネーム、スカイラインはどうなるのか!?

■「技術の日産」を体現する存在へ

2020年発表、2022年1月より発売を開始した日産 アリア
2020年発表、2022年1月より発売を開始した日産 アリア

 さらに私が注目するのは、日産が全個体電池の実用化に具体的な道筋を示していることだ。2024年にはパイロットラインによる製造に取り組み、2028年の市販を考えている。

 ただし、市販までは6年も先で、そこまでスカイラインのモデルチェンジを延ばすことができるかどうかは疑問だ。

 それでも、アリアB9のEV性能は高い水準にすでにあり、その基本骨格をもとにモデルチェンジをすませ、全個体電池をいずれ適用できれば、車載バッテリー量を減らして軽量化しながら一充電走行距離をさらに伸ばし、パワーウェイトレシオも高まり、異次元の走行感覚を得られる可能性がある。

 EVであることが、日産の記号性にもつながるだろう。

 もうひとつ、日産はライダー(LiDAR)を使う危険回避技術を発表しており、運転支援技術による安全性向上を一歩先へ進めようとしている。この点でも、スカイラインで実用化していくのが最適ではないか。すでに、ハンドルから手放しできるプロパイロット2.0をスカイラインから採用し、世界に先んじた。

 日産には、時代の先端を行くEV技術と、プロパイロットの進化という、技術の日産の名にふさわしい研究・開発が着実に進展している。それらを総合していくことで、スカイラインらしい価値を示し、次世代へつないでいくことは充分あり得るのではないか。

■「謎かけ」に対する内田社長の答えは

現行型日産 スカイライン。登場から9年目になるが、次期型ではどんな姿を見せてくれるのか
現行型日産 スカイライン。登場から9年目になるが、次期型ではどんな姿を見せてくれるのか

 内田誠社長と面談した折、私は「大人がちゃんと乗れる日産車を作ってください」と話した。すると、内田社長は「フラッグシップということですか」と、問うた。私の質問に、内田社長の頭のなかでは、もしかしたら次期スカイラインの姿があったかもしれない。

 ただし、それは私の想像だ。とはいえ、どのようなクルマが大人の乗れる車種かと内田社長は問わず、「フラッグシップですか」という問いかけが、スカイラインを指していたのではないかという期待を膨らませるのである。

 日産のフラッグシップは、必ずしもクラウンの競合である必要はないと思う。また、新型クラウンがクロスオーバーで発売を始めたように、必ずしも4ドアセダンでなければならないということもないだろう。スカイラインはかつて、V36型でクロスオーバーを販売したこともあった。

■次期スカイラインのあるべき形

 日産は、2020年に発表した事業構造改革計画の「ニッサンNEXT」で、EV、スポーツ、C/Dセグメントに集中するとしている。EVではすでにアリアとサクラを新たに発売し、スポーツではフェアレディZを進化させた。

 スカイラインはC/Dセグメントの充実の枠に入るだろう。北米においては、インフィニティQ50として、ブランドを牽引する次世代の代表的車種になっていくこともできる。

 欧州や中国はEV導入に必死であり、米国ではフォードのピックアップトラックEVが勢いをつけはじめ、消費者のEVへの感度が高まり出しているようだ。次期スカイライン(およびインフィニティQ50)は、もはやハイブリッド車ではなくEVであるべきだろう。

 スカイラインの今後は、未来の日産を象徴する存在として、単なる販売台数だけでなく、メーカーとしてブランドの存続をかけた重要な位置づけになっていくのではないだろうか。

【画像ギャラリー】北米版400Rである「RED SPORT 400」も設定!! 2022年8月に発表されたインフィニティ Q50・2023年モデル(10枚)画像ギャラリー

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