日本人たったひとり!! 孤高の天才レーサーはこう育った!! オーストリアから羽ばたいた若武者のいま

■留学生活のモチベーションはやはりレース

スーパーフォーミュラ第6戦富士で優勝し表彰台の真ん中に立つ笹原右京。怒濤の留学生時代がなければ現在の笹原右京はなかったかもしれない
スーパーフォーミュラ第6戦富士で優勝し表彰台の真ん中に立つ笹原右京。怒濤の留学生時代がなければ現在の笹原右京はなかったかもしれない

 睡眠時間もギリギリの3年間、モチベーションはやはりレースでした。テスト日程が平日しかないので休ませてほしいとチームが学校に依頼してくれると、やったっ! ここから出られる、外の空気が吸える、カートに乗れる! と、迎えに来てくれたチームのバンを見ただけでもうテンションマックスでした。

 でもテストやレースが終われば学校に戻らなきゃいけない。帰りは暗かったです(笑)。レースがなければ、留学生活はかなりヤバいことになってたんじゃないかと思います。

 学校や寮では基本的に何でも自分でしなくちゃいけない。人種差別ってわけじゃないけど、会話や雰囲気のなかで日本人だから舐められてるなと感じることもありました。

 先生でも、コイツはすごく頑張ってると認めてくれる人とは自然と仲も深まるけれど、根っから日本人を受け入れないというか認めていない人とはなんとなく互いを避けていく感じになる。

 でもその先生が僕をちゃんと理解してくれないと、その人が評価を下す教科が難しいことになりかねない。とにかく相手が嫌がろうがなんだろうがどんどん話しかけて、『こいつ本当に日本人?』って相手が驚くくらいやっているうちに、僕を理解して助けてくれるようになった先生もいました。

 欧米のスタイルとして、自分から何かしなければ誰も助けてくれない、自分から行動しないと前に進まない、意見の違いで関係が悪くなることを恐れちゃいけないというのがすごいあります。

 実際、あることないこと言われて、それは違うと本気で相手に向き合ったら、本当の意味で理解が深まる関係が築けました。でも日本で同じようにやると、文句が多いとか言い訳が多いとか、そこは包み隠して黙って頑張りなさい、みたいな感じになっちゃいますね(笑)。

 ただ、結局は自分次第なのかな。自分がどれだけ努力と準備を重ねられるか。先日のSGTでもセーフティーカーが入って僕らはチャンスを無くしたけど、SCが出ても何かカバーできることはあったのではないかと後で考えてみると意外にあったりするんですよ。

 留学時代を思い出すと、スッゲー嫌なこともあったし自分の時間もなくて面倒臭いことも多かったけど、今となってはあの学校に行って良かった、自分が成長できたと感謝してます。

 良いことがあれば悪いこともある。逆に悪いことがあれば良いこともある。最終的に良いことが多かったねって言えるよう、これからも悔いなく過ごしていきたいです。

【画像ギャラリー】留学で培った鋼のメンタル!! スーパーGT第6戦SUGOで今季初の表彰台に立った笹原右京(8枚)画像ギャラリー

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