■アルファードに挑戦しバンコクでブレイクしたヒョンデ スターリア
2022年3月末にタイの首都バンコク近郊で行われた、“バンコクモーターショー”取材のためバンコクを訪れると、バンコク市内で見かけないフルサイズミニバンが多く走っていた。
それがヒョンデ スターリアである。前述したスターゲイザーよりデビューが早く、スターゲイザーの“兄貴”といっていいだろう。タイと言えば、正規輸入販売だけでなく、日本からはアルファードが個人輸入販売(日本仕様を輸入して売っているということ)されるほど日本並みにアルファード人気が高い国。
当然ながら、あの“オラオラ顔”にタイの人たちも惚れ込んでいるのである。そのタイでアルファードの真逆をいくような近未来感覚でスマートなスタイルを採用するスターリアがバンコクでブレイクしていたのである。
話を聞くと、アルファードを所有する富裕層(アルファードは正規輸入販売でも約1500万円超えとなる)ではそもそもクルマの複数保有は当たり前なのだが、その富裕層がスターリアに興味を示し、アルファードを所有しながらスターリアも購入しているとのこと。
市場が成熟していくなか、都市部では消費者の多様化も進み、いままでのオラオラ顔一辺倒というわけでもなくなってきているようで、スターリアはそこにスポッとはまったといっていいかもしれない。
■日本車ひしめくピックアップトラック&SUVに飛び込んだヒョンデ パリセード
ASEAN地域で日本車が強みを見せる背景は、ピックアップトラックとその派生となるSUVの人気が高いのがある。トヨタ ハイラックス、いすゞ D-MAX、三菱 トライトンがASEAN地域での“人気ピックアップトラック御三家”といってもいいだろう。
そしてこれらの派生となる、トヨタ フォーチュナー、いすゞ MU-X、三菱 パジェロスポーツはASEAN地域での“人気SUV御三家”といってもいいだろう。ヒョンデはこのSUVに刺客を放った。
ヒョンデはモノコックボディながら、フォーチュナーなどと同格となるフルサイズSUVの“パリセード”をインドネシアやベトナムなどでラインナップしている(タイはまだ)。
2022年8月にインドネシアの首都ジャカルタを訪れると、このパリセードを意外なほど見かけた。
しかもフォーチュナーやMU-X、パジェロスポーツが新興国向けモデルとして先進国ではまず見かけないのに対し、パリセードは北米市場などでも正式ラインナップされており、ヒョンデ自動車傘下の起亜ブランドのパリセードの兄弟車となる“テルライド”とともに、かなりの勢いで売れているのである。
北米市場ではフルサイズピックアップとなる、トヨタ タンドラベースのセコイアや、日産 タイタンベースのアルマーダなどがラインナップされている。
このクラスで圧倒的な強みを見せるシボレー タホやフォード エクスペディション、ジープ グランドチェロキーやワゴニア系に比べると勢いはいまひとつだが、南カリフォルニアで見る限りは、パリセードとテルライドはセコイアやアルマーダの勢いを越えていいといえるほどよく売れている。
ASEAN地域、北米市場、いずれにしろブランド全体の販売台数でみればヒョンデや起亜ブランドがトヨタには及ばないが、カウント次第(ヒョンデ+起亜、つまりヒョンデグループ)では、2021暦年締めアメリカ国内での年間新車販売台数ではすでにホンダや日産を抜いている。
とにかくここへきてトップの若返り効果がモデルラインナップを増やしながら、ブランド全体の魅力を急速にそして世界的レベルであげている。しかも、いままでとは異なり、日本車の“一丁目一番地”ともいえるカテゴリーでガチンコ勝負を挑んできている。
これは完全にトップの若返りが影響していると見ていいだろう。政治的部分などでは何かと日韓両国で問題はあるが、古い世代では韓国のひとのなか、とくに経営者では日本に“一目置く”傾向も強かった。
しかし、若い世代は日本と対等もしくは韓国のほうが上という感覚の人のほうがむしろ多いようだ。
しかも日本は自動車産業だけでなく、国全体で新型コロナウイルス感染拡大以降、いわゆる“鎖国”を強め、国民全員で日本国内に引きこもってしまった。
この日本の“失われた3年”を韓国だけでなく中国企業などが見逃すはずはない。まさにビジネスチャンスとしてコロナ禍のなか、日本を追い落とすために勢力拡大を進めていたのである。
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